昨日の「中国人民に告ぐ!」を読んだせいだと思う。どうにもこれが読みたくなったのだ。ずいぶん昔に買って、書棚においたままだった魯迅の代表作である。引越しをして、本棚の地層に褶曲が生じたため、意外と目に付きやすいところにあった。
中国の「無力」な「人民」達の、話。
と、かくと、ただただ悲惨な物語のようであるが(実際、そうであるが)彼らは彼らでふてぶてしい一面もあるので悲哀感だけが印象に残るわけではない。つまりは圧倒的な生活感というのがまず先立っており、その中に現代では考えられないような生死の振幅の大きな出来事が前ぶれなく起こる。そしてそれらは感情が鈍麻したなかで受け入れられてゆくのだ。そりゃ「アジア的無感動」にもなるわさ。
こんな雨の降る日に、なんでフィクション(限りなくノンフィクションに近いフィクションだが)な別の国の土民の窮乏話を読んで落ち込まなきゃならんか、私よ。
「中国人民に告ぐ!」はこうした中国非知識階級への蔑視(というか、同族ゆえの叱咤激励かもしれないが)が目に付くが、こうしたメンタリティって、そうそう変わるものでもないと思う。