新幹線のお供に。
村上春樹氏が、Number編集部の肝いりでSydney五輪を観戦しにいった時の旅行記。
相変わらずの村上節ですが、村上氏の偏屈面が今回は際だっております。ちょっと、この人の相手する編集の人にはなりたくなさそうな。
Sydney五輪といいながら、有森裕子、犬伏孝治に関する緊張感のある冒頭の2編は物語を書くときのシリアスな村上氏の口調である。やはり村上氏といえどスポーツエッセイに関しては山際淳司氏の影響は避けがたいのかもな、と思ったりもした。また、この本はオリンピックの感想記でもあるが、オーストラリアという国に対する感想記でもあり、そうした感想は、村上朝日堂とかの、ややほのぼのした口調でありました。あと、おっさん的な視線も今回はやや意外でありました。
それにしても女子サッカーの選手はユニフォーム交換をしないんだろうか。おやじだ〜
最後、オリンピックというものの本質がなにかというまとめのような文章に、しみじみと共感。実際に参加して熱気をもろに受けたはずなのに、それに飲まれていないところは、やはり村上氏の面目躍如たるところか。うん、これはまぁ、いい本です。
ちょうどアテネ五輪前に文庫化されるという出版社の戦略にうまうまとはまってしまったが、そういう戦略って、本の内容見て決めてんのかあ?と思ったり思わなかったり。