半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

"The Great Jazz Trio Meets Standards" The Great Jazz Trio

Hank Jones/Tony williams/Ron Carter (FNCP30586)
 Hank Jonesが"Great Jazz Trio"という名前で組んだユニットの、最初期のものです。

  1. Milestones
  2. Lush Life
  3. Wave
  4. Freedom Jazz Dance
  5. All Blues
  6. A Child is Born
  7. A Night In Tunisia
  8. Satin Doll
  9. My Funny Valentine

 残念ながら検索しても引っかかってこないので、ディスコグラフィーでどの位置をしめているかとか、あまりはっきりしません。ベスト盤かなあ?今ひとつ素性の知れないCDです。
 曲は全部スタンダードで、非常に聴きやすいはず……なんですが、しかし、これが案外いただけない。なんか、ものすごく噛み合ってないような気がするんです。
Tony Williams & Ron CarterサイドとHank Jonesが。

 Tony Williamsの煽りに対して、Hank Jonesが今ひとつ乗り切れてないっつーか。Hank Jonesは端正すぎる。特にMilestonesとか、Freedom Jazz Danceとか、Tony & Ronサイドの曲をやっていると、なんか違うよなあHankと思ってしまうのです。そして他の(非マイルス的な)曲では、Ron & Tonyに違和感がある。
 先入観でみているところもあるかもしれないけど、横(和声)はおいといて、縦(リズム)は、それぞれのバックグラウンドが違いすぎる。特にDsとPfが圧倒的にConflictを起こしている。Tonyの融通無碍に対してHank Jonesの昔気質っぷり。お互いに全くゆずりません。
 Ron Carterに関して言うと、不鮮明な音質が幸いしてか、どっちつかずというか、混じり合わない二者の緩衝地帯として、結果的にいい仕事にみえるのがおそろしいところです。Ron Magic。ずるい。

 その後の作品ではHank Jonesトップダウン状態ですけれども、そういう状態になってやっと、ハンクジョーンズらしさがバンド全体に行き渡るようになったと思う。

しかしこの演奏当時 トニー・ロンとも30代後半。ロンは1937年(昭和12年)、トニーは1945年(昭和20年)生まれだけどハンク・ジョーンズは50代(1918年!)。なのにトニーが一番先に死んでしまうとは……。
 ハンク・ジョーンズロン・カーターもいまだ現役なのがおそろしい。ハンク・ジョーンズの長持ちっぷりは異常。バキにものすごい年寄りの海王がいましたがあんな感じ。