ちょっと前、旅行先で読んでました。古本屋で100円くらいで買ったぼろぼろの文庫本。
いや、いわゆる「ブンガク」だから、どれほど読み応え(というか晦渋なものかと)があるかと思っていたんですけれども、短い話の中にイベントも盛りだくさん。なんてサービス精神にあふれた小説なのかしら。
普通に楽しんで読めました。
10代の洟垂れ若造にとっては、「人間失格」は、自分に引き写して、なにがしか思うところの生じやすい作品だと思うけれども、「斜陽」は、たとえば自分が感情移入できそうな立場の人間がいないから、登場人物との距離が遠い。でもきっと太宰にとっては、斜陽的世界も人間失格的世界も同じくらい切実だったんだろうなあと思う。