- 作者: ポール・オースター,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本
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本の表紙はとってもラブリーな犬の写真なわけですが、内容的にはまったくハードであると言わざるを得ません。これ平積みにしておかれていたら、「あらかわいい」とかいって買う人いると思うけど、きっとトラウマになるで。
……ああつらい。犬ものはつらいなあ。
しかし、読んだ後、とてもぽっかりするわけですが、この本は、結局どういう風に受け止めたらいいんでしょうか。「この人達に比べるとああ今の自分は幸せだ」とか考えるべきなんだろうか。どうもポール・オースター描く駄目人間は、駄目なパターンが定型化されており、そこに何らかの教訓的な意味合いを受け取ってしまう。
最近思うのは、こういう文学作品は精神的なサウナやマッサージみたいなもので、適度に自分の精神を痛めつけるけれど、実生活で起こっていることとは違うから、本当に深刻なダメージを受けるものではない、というか。
いや、これは違うな。文学作品をサウナのように受け取りたいだけだ。自分が。問題は、そのようなとらえ方をせざるを得ない自分の精神の防勢ぶりにある。
ところで、ウィリーの死の間際に起こったと書かれたことは、ボーンズの願望・夢に過ぎないのだろうか?本当はウィリーとビー・スワンソンは出会わなかった可能性もあるのだ。