半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『本当に強い人、強そうで弱い人』川村則行

 現在研究会かなんかで出張@一泊中です。
 いいかげん本棚も溢れてきたので家の本を整理しようと思うのですが、本棚のある部屋ごと開かずの間と化しているのです(そういえばこのWebsiteもそうだが)。

本当に強い人、強そうで弱い人 (ゴマ文庫)

本当に強い人、強そうで弱い人 (ゴマ文庫)

 で、こういう出張中に本を買ったりもよくするわけなんですけれども、逆に家から「もうこれ最後にしよう」と思う本を持ってきて、捨てて帰る、ということを最近よくするのです。プチ『ショーシャンク』状態。ほらあれ、部屋で掘り返した土を運動場でちょっとずつズボンの裾から捨てるあれ。

 で、この本。
帯には「ココロが折れそうになったときに読む本」と書いてあります。
確かにこんな本を買ってどうにかなると思ったなんて、ココロが折れそうな時に買ったのかもなあ、と思いました。

精神科としてはきわめてまっとうなことを言っているわけですが、毒のない本って、つるっていっちゃいますね。Websiteに書く精神科医はどなたも多分に毒成分の強い文章を書くわけですが、診察室における精神科医のありようとしては、こっちがまっとうなのかも。そういう意味では「まっとう路線」でそれなりに印象に残ることを書ける香山リカは結構えらいのかもしれない。
 まっとうな本なんですが、密度が薄いんですよ。読んだ時の。
 だから手元に置いておかない。

 ああ、あと、最後らへんにストレスと免疫の話、ストレスでナチュラルキラー活性がどうのこうの…ということが書かれていまして、「ああまたこの話か」と鼻白みましたが、実はこの方が本家本元なのですね。まず「ストレス」とはなにか、「免疫」とは何かというのがきわめて曖昧なので、どうとも言われないと僕は思いますが、ま、ストレスと免疫の話は便利なので、外来で僕も使ったりもします。

以下内容バレ含む
素直な人は心が強い>心が強いから素直なのかも
配属してきた部下がみなうつになる上司がいる>上司がメンタルヘルスの問題をかかえている
内にこもる攻撃性は免疫性を低下させる・3つの攻撃性 Overt type/covert type/competition
「間違った学習」はない