半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

"静かなるケニー" ケニー・ドーハム

 昨日のBitches Brewに引き続き、今更ながら超有名盤シリーズ。
 ドーハムのアルバムの中で、一番有名なものであるが、このアルバムはいかにも四畳半的であり、本来のドーハムの良さを伝えていないという対立意見もある作品。
 若い頃はそういう先入観を持って聴いて確かにそうだうんうんとか思ったのだけれど、My Idealとか、Alone Together,Old Folksとかのバラードものは静謐な印象を与えるのだけれども、ブルースとかは普通にブリブリ吹いているし、"Quiet"というタイトルに印象を引きずられすぎているだけかなあと思ったりもしました。一枚通して聴くと、普通に良くまとまったアルバムです。
 しかし、これは厳然たる事実であるが、ドーハムはソロにおいて使う音域が非常に低い。この辺が、"Hot"なTrumpeterとの差異なのかなあと思ったりもする。
 音域の低いソロは、トロンボーンでコピーすると、スライドワークが大きくなりすぎて、ちょっとわざとらしくなってしまうという欠点があります。でも僕は初心者の頃、一番熱心にコピーしたのが、ドーハムでした。確かにトロンボーンで真似するのは不自然で、このソロは自分では吹かんやろという感じになんだけど、「どんな音を使うといいか」という理論的な理解はしやすいんです。ほら、本とか読んでいても、「すごい文章だ。とても自分には真似出来ない」と思わせる人もいるし「自分でも何か文章を書いてみよう」と触発される文もあるじゃないですか。ドーハムのソロは、後者な感じかなあ。

 トランペットの初心者の人も、Dorhamのあまり熱量のないプレイはとりあえずとっつきやすいですよ。

 しかし、ジャケットのドーハム近影像の、目がいっちゃっている感じはちょっとひくなあ。ゴッホの自画像みたい。