半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

"ビッチェズ・ブリュー+1" マイルス・デイヴィス

 この、マイルスの超有名盤は、もちろん余所で聴いたことはあったのですが、ジャズ愛好歴20年目くらいにして初めて買った。ま、そりゃ買うのは(散逸して買い直す以外は)一度なのですから、どんな買い物も、初めてと言えば初めてなんですが、この作品は、カセットでもMDとかでも、手元に音源を持ったことがなかったんですね。つまり、自宅では聴いたことはなかったんです。そういう意味ね。

 いわゆるマイルス の"電気ショック"(というと語弊があるか)第一弾。
 確かにこれは、今までのマイルスの文脈を考えると、聴いた人はのけぞっただろうなあと思う。例えば、心の狭いウィントンなんかを「マイルスは悪魔に魂を売った」と慨嘆せしめたし、多くの評論家を(寺島氏とか)マイルス憎んで袈裟まで憎しみたいな感じにさせたわけです。

 で、実際、ものすごいサウンドなんですよね。
 んー、たとえば、健康番組で、ドロドロ血とかそういうのあるじゃないですか。それのイメージ音楽として使ったらいいような感じ。
どろどろのぬめぬめで、「魔界音楽感」があります。プチ地獄です。
 小学生の図画でいうと、パレットに沢山の色を溶かしすぎて、黄土色だか茶色だかよくわからない濁った色になってしまった色のようなイメージ。
 でも、えらくかっこいい。

 マイルスの、「かっこよさ」に対する貪欲さというのは、やっぱりすごいなあと思います。現代の時点でも、マイルスが投げかけたこのサウンドはいまだ咀嚼しきれてない。
 ま、個人的にはその前の、トニーウィリアムスやハンコックがソリッドなリズムを出していた頃の「電気直前マイルス」が一番好きなんですけれどもね(Miles Smilesとか)。

 実はそれ以降のマイルスに関しては、カムバックしたあとの、ちょっとおじいちゃん化したマイルスのアルバムしかもっていないので、アガルタ・パンゲアとか、買ってみよっかなーと思った。