- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11
- メディア: 文庫
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ホラー色の強い作品ばかりを集めたアンソロジー。
その人の作品を沢山読んでいる場合、読んだことのない作品でも、その世界に妙な懐かしさとデジャ・ヴのようなものを感じることがありますね。
筒井康隆は、以前浴びるように短編を読みました。
筒井康隆かぶれは、いわゆる青春時代にすませておくのが紳士のたしなみだと思いますが、僕が筒井をまとめて読んだのは社会人になってからです。
鳥取に3ヶ月くらい短期赴任したことがあるのですが、その時、官舎こそあてがわれたものの、何しろ3ヶ月だったから、家具も何も持ち込まず、蒲団だけ持っていきました。そうして、がらんとした家で、ひたすら地元の古本屋で本を買っては読むという生活をした。近所の古本屋にはやたら筒井康隆の短編集が豊富に置いてあり、20冊あまりの背の赤い筒井の短編集を買っては濫読したわけです。
毎日筒井の本を読んでいると、いつのまにか世界を眺め方が筒井視点になってきます。普通に暮らしていても不穏当な事を考えるのが増えたので(性的嗜好がちょっとサディスティックになる)途中でブレーキをかけましたが、殆ど飯場状態の下宿で黙々と積み上げられた古本を読んでいく男というのはなかなか後で考えると凄まじいものがありますね。自宅にわざわざクリーンベンチを持ち込んで原子爆弾を作る沢田研二とタメはります。
ま、今回の短編集には、おそらくその膨大な短編のなかのいくつか読んだものも入っているのだと思うが、大体筒井トーンというものに慣れると、別に既読であろうが未読であろうが、やけにしっくり馴染むし、逆にどれも読んだことがあるような気もしました。そんなことはないだろうけど。
しかし、昔の角川文庫で出ていた一連の筒井本は、背表紙も赤黒いし、表紙もちょっと病的な絵だったりして、いかにも筒井本らしいおどろおどろしさがありましたが、この『くさり』、パステルカラーだわ、イラストもなんか可愛らしい感じだわ、ちょっとあってない気がする。