- 作者: 平野雅章
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1978/04
- メディア: 文庫
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食べ物にまつわることわざ集。一項目見開き二ページで、あいうえお順。まずことわざがページの冒頭で掲げられていて、その解説というか食べ物話が書かれる。
最初は「青菜に塩」うんうん、これは知っているなと思ったら、次は
青菜は男に見せな
?
これは、生の青菜はかさばって多く見えるが、いったんゆでたりすると驚くほどかさが少なくなる。男は普段炊事にたずさわっていないので、なんでこんなに少ないのかとあらぬ疑いをかけられることがあるので、なるべく生の青菜は見せない方がいいということらしい。
うーん、な、なるほどね。
この様に、僕がもの知らずなのかもしれないけど、知らないことわざもかなりあるなあと思いました。
(鮟鱇の待ち食い、一合雑炊二合粥、炒り豆のすまじろい、カマスの焼き食い一升飯、など)
しかし、
移り箸はいけない
たけのこに米ぬか
茗荷を食えば物忘れする
とか、ことわざ、か?と思うような項目も結構あるんです。これ、そのまんまだからなあ。
あと、似たようなニュアンスの一連のものとしては
魚は殿様に 餅は乞食に焼かせろ
小豆は馬鹿に煮らせよ
芥子は気短者に掻かせよ
というのがありました。
魚は火が通るまでじっくり焼かないと身が崩れてしまうけれども、餅は逆にゆっくりしていると焦げてしまうので、魚は殿様のようなおっとりした心構えでひっくり返す必要があるし、もちはせっかちに裏返さないといけないという意。いかにも実地向けだなあと思うし、面白い。
今となってはあまり使わないけど、含蓄のある言葉が一杯のっていました。
時々引っ張り出して眺めようと思います。