- 作者: 池波正太郎,近藤文夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/03
- メディア: 文庫
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夏頃、剣客商売シリーズ1-16をとても楽しく読み終えたわけですが、これはそのスピンアウト作品とも言えるもの。
池波正太郎と料理人のコラボレーション。
剣客商売では隠居剣士である主人公の小兵衛は、道場手伝いの近所の百姓女おはるを手込めてしまい、嫁にしているというところから話が始まるわけですが、この若妻はべっぴんではないものの気働きのよい、シリーズ全巻通して読むと、実に好感の持てる能天気娘なわけです。
この若妻おはるは、料理が結構うまく、いつも大層美味しそうな食事を小兵衛と作っていて、読者はよだれがタレタレになるわけですが、それとか、あと小料理屋で出てくる料理とかをご丁寧に再現している。作る側は結構大変だったと思う。
あえて江戸時代の語法を使って調理するということにディレッタンティズムを感じるが、レシピブックとしては、ちょっと使いづらいとは思うなあ。20世紀末から21世紀にかけて、食材のレパートリーが増えたために、料理の語法というのはまさに進化の途上である。もう、我々の味覚は全くの昔には、多分戻れまい。
ちなみにおはるは、僕の中ではジョージ秋山絵で想起される。極端な内股で下半身どっしり体型。
しかし、なぜ昔風を再現するのに、風呂吹き大根は面取りをしてはいけないんだろう。
あと、この本のいいところは、剣客商売のどの場面でどんな料理が出てきたかという巻末の表ね。資料として便利。