結晶世界 バラード

結晶世界 (創元SF文庫)

　正直に言うと、期待していたほどは面白くありませんでした。
　SFの定番って、難しいなあ。科学の進歩と鮮度のせめぎ合い。
　ハヤカワにくらべると、創元の本って、同じ発行年代でも古く感じられるというのも不思議だ。多分装丁とか、書体のせいだと思うけれど。

　アフリカ冒険ものってのもなあ。
　19世紀〜20世紀初頭に流行した冒険小説っていうのは、地球上にまだ秘境が残っていた頃だからこそのリアリティなわけでさ、「奥地に何があるかよくわからない」的なシチュエーションは、僕たちには共感できない。グーグルアースとかある今の時代、地球上にフロンティアはないわけですから。

　あとは、主人公が癩病院の医者っていうのも、さすがに時代が違い過ぎるように思った。それに、治療法だって、1950年代には大体は知られているはずで、初出66年だから、ちょっとその当時でも知識が古かったのかなあと思ってしまう。