半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『男流文学論』

男流文学論 (ちくま文庫)

男流文学論 (ちくま文庫)

 日本を代表する女性論客3人が、有名な男性作家(普通、男性作家には男性とわざわざつけることはないが、この本では敢えて『男流』と呼称し、それによって『女流』作家という名称の奇異さ、差別性を浮きだたせている。これは『女医』という呼称に通ずるものがある)の作品を論評しあうという鼎談本。

 フェミニズム的な攻撃というと、たとえばガチガチのマルクス主義者がブルジョワジーを弾劾するようなのが想像されるが、この鼎談はそういった無骨なものではなく、むしろアイロニカルであったりする。
 鈍器よりも刃物。もう、3人とも鋭すぎて、ズバズバ斬られちゃっていて、おもしろいやらこわいやら。

 内容としてはかなり深いところまで論評しているのに、こんなに面白いのはさすが。いまさらながら、読んでおいてよかった。