半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

Dave Brubeck "Dave Digs Disney"

デイブ・ブルーベックが、ディズニーの曲をうまいことやりましたという盤。
出張で北海道に行った時にどっかの店で、中古CDフェアみたいなのをやっていたので購入。そんな遠くまで来てCD買う事ないのに、中古CDという表示があると、誘蛾灯に誘われる蛾の如くにふらふらと寄り道してしまう。いやほんと、ゴキブリホイホイみたいなのがあって、真ん中にCDとか仕掛けてあれば、多分僕ひっかかってるよ。

Dave Digs Disney ええと、J.P.ホーガンガニメデの優しい巨人"Gentle Giants of Ganymede"と同じで頭韻を踏んでいて、いかにもインテレクチュアルなブルーベックだわいと思う。東京か大阪のお笑いかでいえば東京のお笑いの匂いです。

 演奏は、いつものブルーベックとポール・デスモンド。僕の中では、ブルーベックの音楽は、ジャズではない。昔も今も。
 大学生でジャズ研にいたころ、ジャズ原理主義者の頃は、これはネガティブな評価だったのだが、もう少し物の見方が柔軟になった今では、ポジティブなニュアンスがある。ブルーベックの志向は、ウェストコーストの中でも独特の立ち位置で、極めてオリジナルである。なるほど確かにグルーヴィーではない。しかし黒人のグルーブやリズムを模倣することよりも、ブルーベックの行為はジャズ精神の根本こそに近づいているような気がする。ブルーベックは、ジャズではないが、ジャズ以上の何かである。


 ところで、デスモンドは、ブルーベックがあるともれなく付いてくる、ちょっとおまけ感のある人なのだが、音楽的に強烈な指向性のあるブルーベックに比べると、デスモンドには彼なりのこだわりというのが殆ど感じられない。簡単に言うと、デスモンドは、お餅をつく人ではなく、臼の横に座って、ハイッ!ってやっている人だ。この前まで一緒にバンドをやっていたサックスの人が、こういう人だった。衒いなく人が出した無理難題を、さらりとする。一体この人は賢いのか馬鹿なのか、といった風な。最近の僕は、この頃のデスモンドの心境というのが妙に気になるのである。彼は一体どんな気持ちでこのバンドでのメロディーを吹いていたのだろうか。