そういえば、年度末なんですね。へぇっ!
考えてみれば、本家の『平家物語』が滅びの物語であり、初めて平家物語現代語訳版を読んだ時の生々しい無常観がよみがえった。
家事や子供の教育に悩みつつも頑張っている我が妻は「今年は大河ドラマを観ようと思うの」といって「鎌倉殿の十三人」を観ている。
彼女は昔は大河ドラマが好きだったらしいのだが、ここ数年は遠ざかっていた。考えてみれば子供が小さいころ、合戦とかのシーンは「怖い」って観たがらなかったから、彼女なりに封印していたっけ。
そんな中、僕はアマゾンプライムでこちらのアニメに出会ったので、妻は源氏、僕は平家を観ることになった。
高野文子キャラクター、デザイン。古川日出男原作。色々随所随所に光るところのあるアニメだった。
往年のサブカル好きにぶっささるキャスティング。
そして、なにより、主題歌もよかった。
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なんか、青春時代にジャズに淫していた自分が、横目でバンド文化を観ていた時に、Ego-WrappinとかOrange PekoeとかCymbalsとか好きだった自分には、どストライクである。
松本大洋的なアート感あふれるカット割、言い過ぎず、余白を残すダイアローグ。
しかし、なにより気付かされるのは、原作である『平家物語』のコンテンツの強さである。
原作の時点で、栄耀栄華の頂点を極めた一族が、転落し、滅亡してゆくさまが克明に描かれる。
あらためて、この滅びの悲劇作品が、我が国の古典になっていることは、すごいことやなあ、と思う。
どんなに自分が栄光の絶頂にいても、『平家物語』は、そこに暗い影を一筋指すことができる。
それは、どんなときでも勝ちに奢らないという何よりの教訓である。
私も、今大過なく生きているけど、やはり常に「諸行無常」を思い、人に優しく生きなければいかんなあ、と思った。
非の打ちどころのない美人、建礼門院徳子の、前髪が常にぱらけている描写は、記号であるアニメキャラではないリアルさがうまいなあと思うし、
主人公である琵琶のどことなくAikoっぽい風貌も、ミステリアスでどきっとさせられる(Aikoファン)。