不思議な読み味。
オススメできるのかどうか……
タイトルは別に変ではない。
医療について非医療者の人にもわかりやすいことを紹介している本。(という形式)
三人の共著。
・吉野敏明 医療問題アナリスト・歯科医師
・田中肇 経営コンサルタント
・大和泰子 終活アドバイザー
実際としては吉野氏がすべてを取りまとめていて、吉野氏のディレクションによる本。
田中氏はいわゆるマクロ経済における医療のあり方などの話であり、これはこれでなかなか堅牢な話であった。
大和氏は、いわゆる「終活」に特化した話で、この話も面白い。
問題は吉野氏である。
書いてあることの8割はうなづける内容。総論としても決して反対すべき内容ではない。
既存の保険医療の限界を指摘する。
それはまあわかる。
健康のためには口腔ケアは大事。これもめちゃめちゃわかる。
しかし……
と言われると、ちょっと「ん?」となる。
と書いてあると「んんん??」となる。
終活の実例で、
『Xさんは私のクリニックでガン末期の状態に対して免疫療法の治療を受けました』
とあると「んんんんん?」となる。
8割方うなづける内容なのに、5%くらいに、ヘルスケア業界にいるものとして絶対に首肯できないところが散在している。
トランスパーソナル心理学にも言及されているけど、これもうーん。
んーー。
多分この人は割と頭がよく勘もいいので、正統な科学とそうでないものもこだわらずにうまくピックアップして、ご本人なりの学問の曼荼羅を作り上げている……んでしょうね。
ヘルスケア業界の同業者を説得し、スタンダードにするよりも、顧客に訴求する道を選んだのだろうな、と思わせる。
船井幸雄ほどの聡明な人間であっても、晩年はスピリチュアルに傾倒した。自然科学としての厳密性はn=1の個人的な経験の解釈としては必然ではない、ということは我々は知っておきたい。
その意味でこの本。
んー。
オススメであるともオススメでないとも言える。
トンデモと片づけるには、いい部分のパートが良すぎるのよな。
「クリティカル・シンキング」の観点からオススメであると言えるのかも(反語的表現)。
以下、備忘録。
・SMI:人生の6分野
・同族経営の問題点(10) 会社は自分のものではなく従業員のものであるという倫理面がない=(この辺は耳が痛かった)
・共有地の悲劇
・80代90代『自己超越欲求』