半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『望遠ニッポン見聞録』ヤマザキマリ

オススメ度 90点
うんうん度 100点

テルマエ・ロマエ』で有名になったヤマザキマリ
学校卒業してからすぐヨーロッパに渡り、画家になり、そこからエッセイ+漫画家になっている彼女。
国際的な視点が豊かなコスモポリタンである。
年代としても、自分と大きくは変わらないようで*1、「気があうなあ」という感想を抱く。

本としては、不思議の国、ニッポン。byポール・ポネ、みたいな感じの『日本人てここが不思議』みたいなやつ。

この手の『床屋政談的比較文化論』って、

  • 日本に住んでいる外国人が、日本人のことを語る
  • 海外在住の日本人が、「〜では」とその国(大方日本人が憧れる欧米に在住)の「出羽守」となって語る

というパターンが多いのだけれど、
ヤマザキマリは『長く海外に住んだ日本人が、日本人のことを再評価する』という視点。
この視点は、なかなかないよね。
村上春樹の紀行文か伊丹十三のエッセイが、読後感が近いかもしれない。

ただヤマザキマリさんの文は角がたたない。
そう、ヤマザキマリさんって、淡々としているけど包容力があるよね、と思う。
人柄を感じさせ(別にすげーいい人でもないと思うが、悪い人でもない、自分を偽らない感じ)安心感がある。

怒られるなら、こういう人に怒られたいなと思う。上手に淡々と怒ってくれそうだ。

個人的には、『トレーディングカード』にはまった息子に、教育上あんまりなあ……といって、オリジナルトレーディングカードを作ってやる話がツボでした。(蚤の市で、意外に売れた結末なども笑)

*1:と思ったら7歳年上だった。若さと円熟さが混在している年代ではある