半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『巴里のアメリカ人』

オススメ度 70点
リファレンス度 100点

私はアマチュアジャズマンなのであるが、ジャズのスタンダード曲の多くは昔のミュージカルの人気曲を題材にしているのである。
アメリカのショウビスの最高峰はミュージカルだ。
ガーシュインとかコール・ポーターなどの名作曲家達が意匠を凝らした曲を量産し、最高級のダンサー・俳優、ミュージシャンが集まって、絢爛豪華なショーを繰り広げる。
まさしくアメリカ文化の一つの到達点。

ミュージカルそのものは1920年代から隆盛を誇るのだが、
1950年代から1960年代には、そういうミュージカルを題材にした映画が量産される。
ざっと挙げてみると、

巴里のアメリカ人 1951年、
雨に歌えばが 1952年、
ウェスト・サイド・ストーリーが1961年
マイ・フェア・レディが1964年
サウンド・オブ・ミュージックが1965年

巴里のアメリカ人は、こういうミュージカル映画リバイバルの嚆矢。
このStay Home時代、時間があったので、古典にたちもどる意味で観た。

まあ、面白いかどうか、といえば、やはり古典として受け止められるような作品で、ストーリーラインはシンプル。
演出やカット割などもシンプル。*1
'S wonderful
I got Rhythm
Our love is here to stay
あたりが、いまでもジャズのセッションでよくやられる曲ではある。

しかし、ミュージカルというのはやはりものすごいね。

AN AMERICAN IN PARIS ('51): "I Got Rhythm"

音楽と劇、ダンスの総合芸術なんだよなーと改めて思った。

ラストの18分の脳内ダンスシーンは、大変な苦労をして幻想的なセットを組んでいるけれども、こういう脳内風景に関してはCGを使った現代の作り方には叶わないなとは思った。

個人的にはジーンケリーの、ちょっと大味感もある身体つき(胸板の厚さとがっしりした腕)が好き。
いかにもアメリカ人!って感じなので。*2
フレッド・アステアのダンスよりもガサツな感じではあるけど、ジーン・ケリーの「雄」感には憧れる。
生命の躍動感という意味では、ジーン・ケリーの方が僕の琴線に触れるのかもしれない。

*1:反対に、肝心のミュージカル部分は、爛熟期にさしかかっていることもあり、相当完成度が高い

*2:僕はゲイではないのだけれど、ジーン・ケリーの大味な胸板に抱かれるのは、結構いい気持ちなんじゃないかと思う