オススメ度 90点
ただまあ本棚にあるとちょっといい感じ度 90点
みんなが知っているうさこちゃんこと「ミッフィー」はどちらかというとキャリアの後半に確立されたキャラ。
技法も晩年になればなるほどシンプルなデザインとなっている。
ただ、ディック・ブルーナーの前半生を振り返ってみるとサビニャックみたいな芸風のアートポスターとか、そういうのも作っているんですね。もう本当に、サビニャックのフォロワーといってもいい。
確かに、サビニャックの深みのある青や赤の色使い、ミッフィーの色使いに共通するところもありますね。
この辺りが、同じフラットデザインでも「のんたんといっしょ」と「ミッフィー」の違うところかなあと思う。のんたんはさすが光の国日本製だけあって、むしろ蛍光色や淡い色使い。
ミッフィーは改めてみてみると、けっこうダークな色使いなのだ。
しかしブルーナーの成長過程がみられるこの本、その過程で描線の複雑さが徐々にシンプルになる様がよくわかる。
色使いや描線も今の太さになるまでには紆余曲折があったようだ。
こう一生の足跡をみてゆくと「余計な線を削ぎおとしてゆくこと」は一見簡単そうに見えてすごく大変なことであるということがわかる。この本はそれを見せてくれる点で貴重。イラストが仕事&趣味の人は一度読んでもいいかもしれない。
* * *
ついでに
ブルーナーの本の中でまあまあレアな「ノアの箱舟」を絵本にした話もついでに購入。
- 作者:ディック ブルーナ
- 発売日: 1999/11/10
- メディア: 単行本
右下にいる毛虫(毛ないやん!)のケムエルが主人公。
このけむし、いかにもブルーナー的でかわいいよね。
まあしかし今回あえてこんな本を買ったのは、自宅にいることが多くなったから。
自分の書棚と向き合うことが増えた。
そうすると「ここのコーナーに抜けがあるよな…」とか思っちゃって購入。
この本は、読むことが目的ではなく、自宅に置く事、そして眺めることが目的になるような本。
届いたら、変形文庫サイズで、もうちょっと大きいやつでもよかったなーと思う。