オススメ度 100点
10億か…度 100点
森博嗣はかなり異色な経歴で、工学部の教官でアカデミックキャリアを進んでいる時に、このままだと、自分の時間もとれないし、趣味にもお金が使えないなーと思い、もう少しお金を稼ぐ手段はないだろうかと考えた。
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今まで書いたこともないし、読書も好きではなかったのに、本を書いてみたら一週間で書けた。
←まずこれがありえないというか、異能だと思う。
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結局印税収入は 10億以上になり、今では引退して悠々自適の生活を送っている。
halfboileddoc.hatenablog.com
読書に関する氏の独特な考えは以前にこちらで読んだ。結構衝撃的だった。読書好きでない人がベストセラー作家になれるんだ…)*1
というわけで、孤高の偉人、森博嗣のお金に対する考え方を書いた本。
理解はできるが、かなり特殊すぎて参考にはならない。
お金界のマリーアントワネット、という感じだ。
森曰く、
- お金そのもの価値ではなく、お金を欲しいものに変えることに価値がある(価値あるものへの交換可能性がお金の本質だ)
逆にいうと、お金を減らす=買い物にお金の要諦がある。
- 巷間では、お金の増やし方=貯め方ばっかり。貯めたって、使わなければ意味がないだろう。
- 「欲しい」という気持ちに素直に向き合うこと。欲しいんだったら、それに対してどれだけ犠牲を払えるか、というのが、お金の価値だ。ポルシェに乗りたければお金を貯めて、買えばいい。買わないということは、そこまでして欲しくはないということだ。
- 世間では「人に見られる」ことにお金を使うことが最近増えているが、もし自分が隔絶された状況で、人に見せびらかしたりするようなシチュエーションがなかったら欲しくない、というんだったら、それは本当の欲望ではない。
- 欲望は、自己満足でいい。自己満足は人生の目標としてもいいほど立派なことだと思う。
ちょっと逆説的な部分もあるけれども、これまでにも森博嗣の本を読んでいればすんなり理解できる内容である。
森氏ほど極端ではないにしろ、お金持ちの人の仕事のやり方やお金の考え方も触れられている。
また、森家でのお金のルールも非常にシンプルでよかった。
ホリエモンもキングコング西野とかもそうだけど、お金を持っている人の方がお金には囚われていない。
市井の一般人の方がよほど金に囚われている。
多分「世間の一般常識」はダメなんだ。*2
この国はとりわけマネーリテラシーが低い。
僕たちはそのことをもう少ししっかり自覚した方がいいように思う。
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森氏は隠者的な生活をしているけれども、今回コロナ騒動で我々も半隠者的な生活を余儀なくされている。
今だからこそ響く部分もあったと思う。
今までの世界は欲望をドライブさせることで世界の経済活動を回していた。
もし森氏のような生活がスタンダードになれば、今のような物質過剰時代は続かないだろうと思う。
多くの企業が倒れたり方針変更を余儀なくされるだろうけど、けど環境問題とかそういうものは解決する可能性がでてくる。頭を冷ましてシンプルに生きることが正しいのかもしれない。
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halfboileddoc.hatenablog.com
これの後半にある、腐らない経済の話。も、こういう成長至上主義の経済のアンチテーゼだったと思う。
それから『エンデの遺言』という本では、かつてのドイツで試みられた地方通貨システム(利息ではなく、保持すると価値が目減りしてゆく通貨。死蔵すると損になる)が紹介されている。
これは森氏のコンセプトとは少し違うけど「お金が減る」話。