オススメ度 90点
実ははなわが塙の兄さんということ知らなかった度 90点
ナイツの塙のあのくどい芸風はわりと好きで、Youtubeに上がっている漫才をだらだら流したまま作業したりすることはよくある。
もちろん、ヤホーで検索したりはしない。
あの、小笑いをとっていくスタイルはMCでもいくつか借用させてもらっています。
「ジャズ・トロンボーンとかって、ねぇ?有名な人は数えるほどしかいません。
えーと、あの、ジェイ・ジェイ、ジョソソソとか、知ってます?」
やってみてわかるのは、土屋のツッコミのちょうどいい按配だ。
一人でナイツ塙の雰囲気にすると、どうしてもフライング感がただよってしまう。
* * *
この本は、ネットとかで塙のお笑い論。
M-1で勝ちたいけど勝てない理由は何かというところから始まり、
関西芸人と関東芸人のお笑いの体質の違い、
コント漫才とべしゃくり漫才、M-1の四分という時間の秘密とか、
参加者ならではのことを、明晰に語っている。
やっぱり専門家が自分の分野について語っている本は、面白い。
多分僕の青年時代のお笑い好きはみんな松本人志『遺書』とか一度は読んだことがあるけど、今のお笑い世代は、こういうのが底本になるんだろうなあ。
以下備忘録。興味があればぜひ本書を読んでいただきたい。
- べしゃり漫才と作りこみ。コント漫才の弱点。
- 『紳竜の研究』というDVD
- コンビ同士の仲の良し悪しの有利不利。
- 関西人は、サッカーでいえばブラジルのようなもの
- 東京と関西では落語・漫才の力関係が逆。東京では落語に合わせて靴を脱ぐ。関西は落語家が雪駄を履く。東京の漫才は靴下なので、動きに制限がある。
- 「ちゃんとしたネタ」は「他の人でも演じることができるネタ」(つまり普遍性がある)
- 自虐ネタは裏笑いになりがち
- つかみが早いと、野球の初回得点みたいなもの。のちのちの試合運びがずっと楽になる。
- 劇場とテレビではお客さんのシビアさが違う
- 時事ネタ漫才は「フグ調理師免許のようなもの」=世相の毒抜きがうまい
当たり前のことだが、「コンテストはコンテストだが、それが絶対ではない」という考えにははっとした。
芸人として売れる、よいコンテンツを提供することが大事なのであって、コンテストを相対化することは、確かに大事だと思う。
ちなみに、ナイツとしてはやや邪道な、歌ネタ漫才、僕は結構好きなのである。
本ではちょこっとしか触れてなかったけど。
(Youtubeに時折ネタは掲載されるが、一定期間で削除される繰り返しです。
ナイツが、JITTERIN'JINNの「プレゼント」を土屋が歌い、塙がいちいちそこにツッコむという形式のやつ。
やっぱり塙のツッコミはあんまりうまくないのだけれど、ネタの作り込みも含めて僕は結構すきだな。