半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『武器になる哲学』

オススメ度 100点
これは会社指定の本にしたらちょっとみんな教養あがるんだろうか…度 100点

山口周、今まで読んだ本でハズレがないのはおそろしいことだ。

まあ、リーダーに教養が求められる理由、

  • 無教養な専門家こそ、われわれの文明にとって最大の脅威
  • 専門家というものは、専門的能力があるからといって無教養であったり、諸々の事柄に無知であったりしていいものだろうか


halfboileddoc.hatenablog.com
jazz-zammai.hatenablog.jp

哲学というと、基本的に「哲学史」的な編年体で書かれた教科書がほとんどだ。
普通の哲学の本は、ソクラテスプラトンアリストテレス、と並んで、即爆睡。


これは逆引き辞典のようなもので、仕事や人生で悩むようなトピック別にキーワードを編集し、50のインデックスにわけて紹介している。

このカットバックが、非常に気持ちいい。
というか、めっちゃ有用。
言葉のラベリングって大事だよな、と思う。

* * *

目次からみてみると…

ロゴス・エトス・パトス(アリストテレス
予定説(ジャン・カルヴァン
タブラ・ラサジョン・ロック
ルサンチマンニーチェ
ペルソナ(ユング
自由からの逃走(エーリッヒ・フロム)
報酬(バラス・スキナー)

とこんな感じだ。
「哲学」っていう知的体系をまず修めなさい!という感じでもない。
時代も、提唱者もバラバラ。ユングとかスキナーというのは、「哲学」といっていいのかさえわからない。
 まあ、プラクティカルなビジネス上の実務から離れた概念化された高等概念を「哲学」という言葉でくくっている。

要するに、ユーザ・フレンドリーなのだ。(多少の誤謬はあれど、有用性を何よりも重んじているのだと思う)

以下、キーワード(備忘録)

  • 世界はどのように成り立っているか、Whatの問い=世界はどのように成り立っているのか、とHowの問い=私たちはどう生きるべきなのか?。Whatの問いにはつまらないものが多い。
  • 変化には必ず否定が伴う
  • 予告された報酬が動機付けを減退させる
  • ルサンチマンへの反応(原因となる価値基準に隷属するか、反抗するか)
  • 自由とは堪え難い孤独と痛烈な責任を伴うもの

いや、あまりにもタグが多すぎて、なんども読み直した方がいいと思う。KIndleで読んでいるんだけど「マイノート」で線引いた箇所、他の本の4-5倍になってしまった。
ここに書かれているインデックスを当たり前に理解できていれば、現代の教養人と言えるだろうなというくらい、総花的に盛り込まれていると思う。

底本にするのにちょうどいい本だと思う。
すげーなー山口周。