- 作者: 茂木健一郎
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どんなに広大な風景の中に自分を置いても、結局、私は私の頭蓋骨という狭い空間に閉じ込められた存在にすぎないのだ、そのような重苦しさだった
「脳科学者」というよくわからないジャンルのもじゃもじゃなおじさん、茂木健一郎。
この人の初期の随想録というような感じの読み物。
エッセイというか、小説の風景描写の素描というか、そういうよくわからない、なんですかね思春期っぽいもわもわっとした文章が続く。
その感じは、いわゆる自然科学方面の人のタッチとは思えないような感じ。
まあ、自然科学系の論文は一定のセオリーにのっとって書くものだ。
極めて修辞学の領分が少ない文章に属する。
一般向けに何かを書こうとした時に、そういう自然科学系の書き方ではなく、自前の読書体験のストックをお手本にものを書かなきゃいけない。
そういう感じの自由さが垣間見えるスタイルではある。
かなりふわりとした人生論の断片のようなもので、本当に不思議な文章。
自然科学者としての自分と、ロマンチストとしての自分が同居している。
まあ、この作品の成功がよくも悪くも後代の彼のキャリアと文筆活動を規定してしまったとも言える。
こっちがうけ、求められるとなれば、こういう文章を量産するわけで、そういうマーケット事情が、彼の研究者としての方向性に影響を与えてしまったのかもしれない。
例えば、ゴッホにしても、なんかよくわからないけど、あっちでぶつかりこっちでぶつかりした挙句が彼の人生を作り、あの作品群を作り出したけれども、例えばオランダで、まあまあうまく立ち回って、幸せな結婚生活を送り、昼間はビジネスマン、日曜日は素人画家、みたいな人生を送った可能性だってある。
別の世界線では茂木氏もサイバネティクス理論とか人工知能などの最先端の科学の現場で活躍していたのだろうか…
いや、まあ知らないけど。
梅原猛の初期の著作集『隠された十字架』『地獄の思想』『哲学する心』
- 作者: 梅原猛
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