半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『七夕の国』

おススメ度 90点
きっと「俺も好き」と思っている人たくさんいると思いたい度 100点

実はこの作品が岩明作品の中で1番好きだったりする。
思えば『寄生獣』は名作だった。
誰もがここは認めるところだと思う。
個人的には主人公がだんだん非人間的な理性先行な考えになっていくところ*1しかし最終的には理性と感性の間でヒューマニズムに回帰するあたりがいいなぁと思った*2

現在連載中の『ヒストリエ』も好きだがその合間に連載されていた。
ヒストリエ』で見られるような時代考証ものの面と『寄生獣』にあるバイオレンスSFの橋渡しになっているのがこの作品だと思う。

実は『寄生獣』『七夕の国』『ヒストリエ』の源流の一つに、時代劇短編集のようなものがある。
『雪の峠・剣の舞』

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)

(残念ながら現時点ではキンドル化されていない)
ヒストリエ』もそうだけど、この人ほんとに「頭の良い人」が好きね。
ひけらかさない頭のいい人。

七夕の国に話を戻すけど、主人公が狂言回しっぽい明るいキャラで、最後まで狂言回しとしての役割を変えない。
やや能天気すぎるほどのキャラクターで明るさを付与しているが、本質的にはかなりシリアスな話ではあった。

ただし『寄生獣』と比べると、問題提起の度合いはやや低くなるのだろうね。
我々とは関係ない別の異世界との交信、みたいな話だから。

*1:『どけよ!人間ども!』というセリフが象徴的である

*2:あと作中東福山市が出でくるが少しなじみがあってよかった。実際には東福山市というのは存在しないが