半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

飲み会二題。『幹事力!』『稲盛流コンパ』

飲み会に関係する本を2つ取り上げてみます。

『幹事力』

オススメ度 60点
報道局に知性はいらないのではないかと思ってしまった度 60点

現役アナウンサーが教える飲ミュニケーションの極意 幹事力! ごきげんビジネス出版

現役アナウンサーが教える飲ミュニケーションの極意 幹事力! ごきげんビジネス出版

多分Kindle日替わりセールで購入。
元アナウンサーの人が書いた、『飲み会のHow To本』。
うーん、極意、というよりは、フレッシュマンに向けて、社用の飲み会の一般的な形と段取りを指南する本、くらいに思っていいと思う。

さすがに僕も社会人20年目くらいなので、ここに書かれている内容は知っている。
世間知らずの僕でさえも知っているくらいの内容なので、サラリーマン諸兄にとっては多分常識なことだろうとは思う。
ただ、書かれている内容を網羅的に実践できているかどうかというと、満点はとれないかもしれない。
それに、当たり前だと思っていることが敢えて書かれている本って、意外と需要はあるものだ。

アイスブレイキングのゲームとか、ちょっとしたTipsはあるので、飲み会の幹事が不安な人は一度目を通しておいてもいいかも。
でも、多分、「うーん、さすがにこれくらいは知っているかなあ…」と思う可能性は高いね。

『稲盛流コンパ』

オススメ度 これは評価不能

稲盛流コンパ 最強組織をつくる究極の飲み会

稲盛流コンパ 最強組織をつくる究極の飲み会

こちらは、だいぶ前に買った本。
京セラの稲盛和夫氏の教えを実践する「盛和塾」というものがある。
稲盛和夫氏はJALの再生を導いたこともあり、『経営の神様』的に、日本ではみなされている。
稲盛イズムは、大阪商人道なのか、プロテスタントプラグマティズム的な思想なのか、そういうのを下地にして経営者の倫理観を極限まで高潔に煮詰めたもの。

心から企業の成功を願い、己を捨て、高潔に生き、公平に社員に接する経営者倫理学である。

まあ、アングロサクソンが主導しているMBAとか西洋の経営学に比して、日本オリジナルを提示していることは間違いない。

で、その稲盛イズム。
経営者でありながらまあまあ従業者目線をもっていると自認する自分からしても、稲盛イズムに飛び込むには若干の躊躇がある。
ちょっと自分のスタイルとは違うが、とにかく稲盛イズムには気迫と覚悟はあると思う。
でも、ちょっとある種の洗脳を覚悟しなければいけない。

『稲盛流コンパ』はまさに盛和塾テイストを具現化したようなものだった。

うーん、すいません、僕これムリです……

世代論的をいえば、現代の若者、そこそこ能力があり自由な倫理観で育った若者は、稲盛イズムには馴染まないとは思う。
盛和塾古代ギリシャ都市国家でいえばスパルタであり、例えばGAFAのようなアテナイには勝てないのではないか?という疑問も去来する。
最近の「カリスマ経営者」と言われている人達は、盛和塾の人達はあまりいない。

盛和塾を信奉する人達は概して小粒で、クリエイティビティには欠けるところはある。

口さがなくいってしまえば、エピゴーネン……、これは失礼な言い方ですけれども。

まぁ、盛和塾はスーパーマンではない人間に、経営者としてそれなりのパフォーマンスをさせる思想的な武器であり鎧であるのだとは思うね。

盛和塾の大きなメリットは、謙虚になれること。

僕が思うデメリットは、盛和塾方式というものを「飲み込む」過程で、日本人の宿痾である「正解」があるという思考形態の枠組みから離れられないことだと思う。

多様性とまとまりはトレードオフの関係にあるが、「まとまり」にパラメータをふりきったのがこの稲盛流飲み会。

はっきり言ってしまえば、日本的ムラ社会の共同体儀礼として、飲み会を使う、という話である。
この「ムラ社会」的な組織自体が、今は時代変化で、徐々に通用しなくなっている現実がある。


まとまりよりも多様性にパラメータをふるやり方も、あるとは思うのだ。

僕自身はこういう飲み会に心酔できないし、この飲み会に心酔する人も、正直あまり好きになれない。
こういう『飲み会』に対して、自分は非常にアンビバレンツに考えているので、評点はできなかった。