オススメ度 80点
いいものをみせてもらったなあと感じた度 100点
- 作者: 米原万里,佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 文庫
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ロシアといえば、今なら「外務省のラスプーチン」と言われた佐藤優この人だが、もっと前はロシアといえば米原万里さんだった。
両者には接点は十分あるが、友達、というまでの物理的な交歓とは言えないらしい。会ったのは10回ばかり。
しかし米原さんが佐藤さんにいろいろ言ったことが、その後の佐藤さんの人生行路の道標になったようなところもあって、佐藤さんは米原さんには感謝しているし恩義も感じているらしい。
そこで、米原さんの著作のなかから、彼女の人となりがわかるような作品をピックアップして、ロシア料理のコース仕立てにまとめた、佐藤優氏による米原万里のアンソロジー、ということになる。米原万里、Remixed by 佐藤優、ということですな。
今なら、佐藤優氏が関わっている本ならとりあえず読んでみようか、という人も結構いるので、出版業界的にも、佐藤氏が絡んでいる方が、一翻(イーファン)上がるだろうし、佐藤氏にしてみれば、ささやかな恩返しという意義もあるので、なかなかいい企画だとは思った。
米原さんも膨大な作品群があるので、僕も読んだものも読んでいないものもある。
限られたスペースの中で、いかにも米原さんの人となりがわかるようなエッセイを取り上げていた。もう没後10年以上経っているのに彼女の人生が生き生きと紙面から浮かび上がるのは、不思議な経験だった。
実際に対面したのは10回くらいではあるが、佐藤〜米原両氏の関わりが、こういう形で昇華されるのも、悪くない。
私が今後人生でどんな仕事をしてゆくのか、自分でもわからないが、こういう風に別の人間が振り返ってくれたら嬉しいだろうなと思う。
ま、しかしそのためには、自分の仕事を結晶化しないといけないよね。