半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

とんかつDJあげたろう

おススメ度 90点
それにしてもセットの合間にラード食う師匠はどうかしてる度 80点

気がつくと、とんかつDJあげたろうが完結していた。

絵柄はもうとんでもなく未熟な雰囲気ではあるものの、ストーリーは、ジャンプの良き伝統である「努力・友情・勝利!」を地でゆくような爽やかな成長譚。
ただ、そもそも女性キャラを描くには画力が足りなかったのか、1巻から続いてきた淡い恋心も、全くかすることもなく終わる。

でも11巻もつづいた物語の大団円は、とても満足がいくものだった。
あげたろうの人徳なのか、音楽は敵を作らない、というメッセージなのか、よきライバル達も切磋琢磨で競い合い、とても平和だ。

前世代のしぶかつとビッグマスターフライの家族のエピソード、世界がつながるエピソードには、ただただ感動。
……音楽は世界を救うのかもしれない。
という、多幸感につつまれる漫画(絵はちょっとアレだけど)。

ただ、ジャズの地方コミュニティに棲息している人間からすれば、そんないい話ばっかりじゃないとは思うんだけどな。
なんかめんどくさい話はいっぱいあるし、お金がからむと、よりドロドロしたり、アンフェアな話もいっぱいあるんだとは思う。
それに、ジャズ・ミュージシャンという少人数の前で地道に演奏する人種からみると、DJって「身を汚さず」感がある。
プレイヤーとDJの関係って、社畜経営コンサルタントの関係性にも似ていて、ある種のアンビバレンツな感じがあるのだ。
ま、そのへんは抜きにして。

そこんとこは、東京の商人というあげたろうの出自と江戸前の「きっぷのよさ」を反映してか、基本的には身ぎれいだよね。