オススメ度 70点
田中先生はクラブの先輩なんです−!って自慢して回りたい度 60点
- 作者: 田中啓文
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2018/10/26
- メディア: Kindle版
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ジャンルは、なんともいい難いのですが、冗談文学?
この小説は、シャーロック・ホームズ好きが高じて、四股名を斜麓山、(ちなみに、部屋は銅煎部屋。どういるで、親方の現役時代の四股名は虎南。)
とつけた力士が、付き人のワトソンこと輪斗山と協力して事件を解決してゆく話。
あとがきは著者本人によるが、
相撲というのは、江戸時代でもないのに頭に髷を結い、裸体にまわし姿の、めちゃくちゃ太った男たちが、土を固めて作った試合上のうえでぶつかり合って勝敗を決める競技なのだ。何度も仕切りを繰り返し、なぜか塩を撒き散らしたり、土を踏み固める仕草をしたり、顔や身体を叩いたりして、なかなか試合を開始しない。これはもう、今日はやらんのかいな、と思って欠伸のひとつも出たころになってやっと試合が始まったと思ったら1秒で終わったりする。
そして、それを仕切るのは頭に烏帽子をかぶり、直垂を着、軍配を手にして、脇差しを差した前時代的な人物である。しかも「はっけよい、のこったのこった」などと意味不明の言葉を大声で叫んだりする。これは日本の古い伝統を踏まえたものだそうだが、その割には上位力士には外国人力士が多いのだ。
つまり、相撲もホームズもリアルさからほど遠いものなので、その2つをかけ合わせてみた、というのが本作のコンセプト。
読んで面白いかというと、いちいち入る関西人らしいツッコミが、いつもの田中節で、実におもしろいのです。
残念がら力士の選手生命は短いので、今作は続き物にはならなさそうな筋書きだったですが、続編が出たらいいなあ。
しかし田中先生、いや先輩は、どちらかといえば、こういう素っ頓狂な設定を想定して、その世界の中では整合性のある話を構築する、というスタイルだが、セッションとかでお会いするスタイルは、完全にノイズ系のフリー・ジャズ。ぜんぜんちゃうやん!むしろアプローチ真逆やん!と思う。