信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変 (幻冬舎新書)
- 作者: 安部龍太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/07/26
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これも日替わりセールで買ったような…あまり覚えていませんが。
安部龍太郎氏は小説家。司馬遼太郎もそうだが、小説家は、小説を書く時ぶ読み込んだ資料などがあるもんだから、どうしても二次創作としてエッセイを書きたがる。
この本の眼目は、安土桃山時代を国内問題だけで語ることはできない。そこにはスペイン・ポルトガルの東アジア戦略のようなものも絡んでくるし、例えば豊臣秀吉の朝鮮出兵も、荒唐無稽な政策というわけではなく、海外事情などを斟酌すると、それなりの妥当性があったんじゃないか?という主張。
今の日本でも、国内政治だけでは起こっていることの半分も理解できないが、戦国〜安土桃山時代は江戸期と違って、東アジアの政治がかなり流動的ではあった。
なので、この本に書かれていることはあながち間違っているわけではないが…、しかし釈然としないな、と思ってはいた。
ちょっと前に、この『陰謀の日本中世史』を読んでいたのだが、その中に
- 作者: 呉座勇一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
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だが日本中世史学会において、本能寺の変はキワモノでしかない。日本中世史を専門とする大学教授が本能寺の変を主題として観光した単著となると、藤田達生氏の『謎とき本能寺の変』くらいしか思いつかない
歴史上の陰謀をめぐる議論ほど、歴史学界と一般社会との温度差が顕著なものはあるまい。
うわぁー、バッサリ。
陰謀の背後を探ることに学問的な意義はない。
それでは、陰謀の考証を厳密にすることにどれだけの意義があるか?というと、
それはまあそこに男のロマンがあると言えば、まあそれはそれでいいのだろう。