半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

戦乱と民衆

戦乱と民衆 (講談社現代新書)

戦乱と民衆 (講談社現代新書)

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戦乱と民衆 (講談社現代新書)

戦乱と民衆 (講談社現代新書)

これも、日替わりセールだったでしょうかね。
戦乱に際して、民衆はどのように行動していたのか、という話を、古代(白村江とか壬申の乱)、中世(応仁の乱大阪夏の陣冬の陣)、幕末にわけて、それぞれの研究者が論じ、最後に、シンポジウムというかパネルディスカッションみたいにした、講演会を一冊の本にしたような体裁。

面白かったけど、結論めいたものは別になかった。
歴史の見方に新たな軸が加わる…というまでのインパクトはこの本では得られなかったように思う。
やや食い足りない。

以下、ちょっとしたトリビア

  • 鳥羽伏見の戦いで、京都は半分以上焼け野原になってしまったのが、東京を首都に定めたもう一つの理由だった。
  • 明治の初めから半ばにかけてかなりの数の町家の女子が「町ねこ」と言われて芸者さんになってゆく話などが結構あったので、焼け出された人は結構いたんだろうなということでもある。
  • 戦争をチャンスと捉えて嬉々としている民衆もいたのではないか。
  • 乱取り=略奪)は戦場にとっては当たり前のことだし、財産や土地を獲得したり、餓死しそうな人が延命したりすることもあったのではないか。
  • 江戸時代になって、戦乱がなくなると、皆で平和にくらそう、でももう起死回生というほどのチャンスはないよ…という時代とも言える。

あと、事あるごとに京都人がディスられているのが面白かったです。
京都が舞台の話が多かったので、ディープな京都マニアの方とか、意外にオススメかも。