- 作者: 山里亮太
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- 作者: 山里 良太
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南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太の自伝的なエッセイ。
この前読んでた『ナナメの夕暮れ』若林正恭 - 半熟三昧(Half-boiled doctorのアウトプット Blog)に少し類縁する作品といえる。
いろいろヤバい。
まず、山里亮太の執念深さがヤバい。
くすぶっていた時代。ある種の「デスノート」とでも言えるネタ帳に、自分が屈辱を感じた他人の一言一言を書きとめて、嫉妬の炎に燃料をくべる毎日。今回この本では過去のノートへの書付も、惜しみなく公開されているのだが、もう怨念がヤバい。
山ちゃん、芸への道を貫徹するために、人気者になる道への退路を断っている感じがヤバい。
完全にヒール(悪役)やん。
山里の努力のベクトルがやばい。
センスのなさを努力で補う。
そのスタイルは自嘲しているものの、ツッコミの言葉のチョイスなどについては妥協なくトライアルエラーを繰り返している。
M-1に最初にでてブレイクする直前には、一つのコントで一冊まるまるネタ帳を作り直したそうで。
その妥協のなさはヤバい。
それが現在の芸風の安定感につながっているんだろう。積み重ねってものはやはり裏切らない。
山里の「才能のなさ」に対するコンプレックスがやばい。
関東から関西の大学に行き、関西お笑いの層の厚さにめげそうになりながら、頑張る山ちゃん。
だが、基本的に面白さの地力が、自分にはないよな…ということを自覚する。
自覚しつつ、それでも持っているカードで勝負するしかない!という悲壮感。
この本で、山里亮太は、自分の悪いところも包み隠さず(びっくりするほど)さらけ出している。
過去二つのコンビを、同じような理由で解散させ、しずちゃんにも懲りずに同じ態度でコンビの状態が悪くなり、怯懦な性格ゆえに同じ失敗を繰り返すことを自己弁護なく書いている様は、かなりイタいが、一番の読みどころである。
ただ、自分で筆をとった部分を読むとただのクソ野郎にしかみえないが、マネージャーにしろしずちゃんにしろ、彼の味方をし、ついてきてくれる人は沢山いる。
叙述トリックといいますか、クソな部分、惰弱な部分を拡大して書いているんだろうなと、最後の若林の解説を読んで腑に落ちた。