半熟三昧(Half-boiled doctorのアウトプット Blog)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『80's〜エイティーズ ある80年代の物語』橘玲

80's エイティーズ ある80年代の物語

80's エイティーズ ある80年代の物語

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振り返ってみれば 、バカな頃がいちばん面白かった 。だけど 、ひとはいつまでもバカではいられない 。そういうことなのだろう

 少し前から橘玲という作家が気になっていた。

 本名もプロフィールも詳細を明かさない作家。顔出しで対談とかはないものの、コンスタントに現代の世相に対して切り口の鋭い論評を行なっているのはみなさんもご存知の通り。*1

 確か最初に目にしたのは資産運用とか経済方面の本であったと思う。

臆病者のための億万長者入門

臆病者のための億万長者入門

しかし、気がつくと文化・哲学方面や、比較的新しい自然科学に関する著作など、全方位に深みのある問題提起ができるので「一体この人はなんなんだ」と思った*2

残酷すぎる成功法則

残酷すぎる成功法則

(日本人)

(日本人)

この本はそんな謎に包まれた橘氏本人が語る、ある種の自伝。今までの歩みを綴ったもの。

大学生の頃のぼくは 、ゴ ーゴリの 『外套 』やドストエフスキ ーの 『地下生活者の手記 』に強い影響を受け 、 「社会の底辺にこそ 〝ほんとう 〟がある 」と思っていた 。それを 、まともな会社に行けない言い訳に使っていたということでもある

高校時代、大学生、そして零細出版社に入り、ドラッグなどのサブカル、スピリチュアルの世界とか、部落差別の虎の尾を踏んだエピソードとか。サリンとか、オウムの事件の雑誌記事では濃厚に関わっていたようだ。

話は1995で終わり、橘玲として現在に至る軌跡はうかがいしれなかったが*3、80年代の出版業界の喧騒がほの見えて、これまでの作品では見えていない新たな一面が見え、興味深かった。

個人的には「朝日ぎらい」「言ってはいけない」「(日本人)」は割におもしろいと思いました。
「読まなくてもいい本の読書案内」については、ここ20-30年での知の領域でのアップデートを示してくれているので、割に大事と思った。

*1:ちきりんさんは対談なども積極的に行うけれども顔面はイラストで隠す。そのスタイルもとらない

*2:当初思ったのは「さいとう・たかを」の都市伝説にあるような個人ではなく作家集団に「橘玲」という個人名を冠したのではないか、ということ。ある種の意図を持って論壇に登場したと推測したこともある。そうとしか思えない引き出しの多さだったから。

*3:多分あまり語ることはないのかもしれない