半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『こなもん屋うま子 大阪グルメ総選挙』田中啓文

前回の日記に書いたのだが、『こなもん屋うま子』が、意外におもしろかったのだ。

前作は吉本新喜劇のような、ベタさと構成美があるプロットだったので、次作も同じような感じでひっぱるのかと思ったら、さっそく破調で、今回は大阪府知事の「クッシー」が主人公に居座る。

クッシーはいうまでもなく橋下知事(今は市長)をモデルにしているのだが、橋下知事っぽさを踏まえた上で、批判一辺倒ではなくそれなりに橋下知事の事情を斟酌しつつ、話はすすむ。そのあたりは、奇妙にバランスがとれている。実際、大阪において橋下知事は賛否両論あり、わりと込み入っていてめんどくさそうなので、比較的フェアであろうとしたような形跡がうかがえる。

まあ『美味しんぼ』で、すべての事象が食い物を中心に転回 するうさんくささは、誰しも感じたことがあると思うが、この作品も、問題の発生と解決が、食い物を中心に起こるわけで、まあ、荒唐無稽な話ではあるが、なんとなくありそうかも…と思わせる大法螺力が、この作品の魅力かも。

オチというか、結末はなんとなく釈然としない(まあ、夢オチとかそういうやつに近いので)のだが、まあ、いいでしょ。