- 作者: 田中啓文
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2014/10/03
- メディア: 文庫
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前作は吉本新喜劇のような、ベタさと構成美があるプロットだったので、次作も同じような感じでひっぱるのかと思ったら、さっそく破調で、今回は大阪府知事の「クッシー」が主人公に居座る。
クッシーはいうまでもなく橋下知事(今は市長)をモデルにしているのだが、橋下知事っぽさを踏まえた上で、批判一辺倒ではなくそれなりに橋下知事の事情を斟酌しつつ、話はすすむ。そのあたりは、奇妙にバランスがとれている。実際、大阪において橋下知事は賛否両論あり、わりと込み入っていてめんどくさそうなので、比較的フェアであろうとしたような形跡がうかがえる。
まあ『美味しんぼ』で、すべての事象が食い物を中心に転回 するうさんくささは、誰しも感じたことがあると思うが、この作品も、問題の発生と解決が、食い物を中心に起こるわけで、まあ、荒唐無稽な話ではあるが、なんとなくありそうかも…と思わせる大法螺力が、この作品の魅力かも。
オチというか、結末はなんとなく釈然としない(まあ、夢オチとかそういうやつに近いので)のだが、まあ、いいでしょ。