- 作者: 会田雄次
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 文庫
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著者はイギリス史の研究科で、敗戦後、英軍の捕虜収容所で二年間抑留されていた経験がある。その時のエピソードなども踏まえて、紅毛人の感覚は、恬淡な日本人とは隔絶したものだよー
でも、日本の戦国時代は、ヨーロッパの果てしない殺し合いの時代にも似ていたので、日本人の割には脂っこいよ―という趣旨。
ちなみに筆者が英人に対してそういう感想を抱いたのは、敗戦後に日本人将校を収容していた捕虜収容所で、英人は、丁重に扱い、いかにも日本に帰れるという態度を醸し出す。そうすると、人は弱いもので希望にすがる哀れな精神状態に陥る。そういう態度に仕向けて、最終的にはすべての希望を粉砕する形で、酷薄に処刑して、死ぬ前に絶望感を与えるようにした、という行動原理からなのであった。要するにそこには「武士の情け」のようなものはないなあというのが著者のカルチャーショックの原点らしい。
確かに命の価値が相対的に下落し、刹那的でもなり、理想に殉じて命を捨てたり、戦国時代の人の考え方は、肝が座っているように思われる。
そういう戦国時代の感覚を現代の(生命尊重的な感じ)に引き戻したのは、徳川綱吉だという話を、井沢元彦が(逆説の日本史で)していた。話がつながり、自分の中で妙なシンクロニティではある。
上記の理論を裏付ける、戦国オモシロエピソードは、まあ、とりあえず普通の教養の範囲内である。