半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『源氏物語はなぜ書かれたのか』井沢元彦

現在の文筆家って、沢山本書かなきゃいけないから気の毒だと思う。
和田秀樹さんとか。
米山光啓さんとか。


一冊一冊のクオリティを大事にして、デビュー当初おずおずと書いていた人達が、だんだん粗製濫造になっていく様はみたくない。ちょっと前なら原田宗典も、そんな感じだった。

この本は『源氏物語はなぜ書かれたのか』という題ですが、その実、源氏物語に関する「なぜ」は解き明かされることなく、源氏物語の話は 1/3で終わり。あとは平家物語の話だったり。
本としては、正直まとまりが無い。井沢元彦の考え方、みたいなものに触れるのであればいいかもしれないけれど。

「逆説の日本史」で書かれていたエッセンスをまとめて、リミックスして出した、という雰囲気がありありとしている。
 そりゃ、文章はわかりやすいし、読んだら「ふんふん」と思うけど。

 要するにこれって、「逆説の日本史」を出すだけでは食えないっつーか、それを書くために蓄えたことを、他の形でも吐き出して、印税を稼がないといけない本邦の出版事情がそうさせているんだと思う。

 18世紀とかの寡作な小説家の時代がうらやましい。

ちなみに、枕草子がなぜ書かれたのか、という考証は、梅原猛のが 説得力がありました。(古代幻視だったと思う)
古代幻視 (文春文庫)