去年ルノアールで 完全版 (マガジンハウス文庫 せ 1-1)
- 作者: せきしろ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2008/12/05
- メディア: 文庫
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私の街にはルノアールはないからだ。
バカサイの常連投稿者でおなじみであった、せきしろ氏の、日記文学。
正直に言うと、途中ちょっと飽きがくるところもあるが、この「どこにもいかない感じ」は非常にいい。「無気力文学の金字塔」というのは、少し言い過ぎでは?という気もするが、非常にうなづける日常空間ではある。
自分のことには最小限にしか触れず、徹底してルノアール(これはいわゆる昭和的な喫茶店の記号的象徴と考えていいのだろうが)であった出来事、人々の観察をベースに話しがすすむ。
これが技巧的な短編小説家であれば、そういう周囲で起こっている出来事、と主人公の現在の状況や心情をシンクロさせて、重層感を出すに違いない。
でもこの作品にはそういう面はほとんどなく、それがかえって潔い印象につながっている。
また、バカサイの常連投稿者だけあり、言葉のセンスは敏感だと思う。
何度か、笑うことがあまり似つかわしくない場所で、独笑してしまった。
ていうか、え!? これ ドラマ化されてんの!?
そうこういっているうちに、我が町の駅前はさびれることしきりで、スターバックスも閉店になってしまった。
我が町にスターバックスは今や一つ。
木更津にだって2つはあるのに。
シアトルがんばれよ。