半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『埋もれた日本』和辻哲郎

埋もれた日本 (新潮文庫 わ 2-1)

埋もれた日本 (新潮文庫 わ 2-1)

これは、たぶん古本屋で買ったんだと思うが、10年来家にある。
今回久しぶりに読み直した。

文学に対する論評などは、『日本精神史研究』と多少重なっているところもあり。
冒頭は、友人に誘われて、払暁巨椋池の蓮の開花を見に行く話。
巨椋池で、音もなくというか、わずかな音をたてて蓮の花が咲くさまは、非常に興味深い。そもそも、巨椋池が現存している時期の、大正期の作家であるという事実に、はっとする。

あとは、いつもの和辻節なのだが、最期らへんに、町医者だった父の話がでていて、この父親が非常なる町医者魂を持っていたことが書かれていて、興味深かった。