半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『緊急提言 日本を救う道』

帯には渋面の堺屋太一氏の近影。内容はともかく、それが、この本のテイストを象徴しています。多分。
読んでいる間中、堺屋先生に怒られている気がするのはなぜでしょう。
別にいいんですけれども。

 出版が地震原発の事故の後ということで、少しその面にもフォーカスを当ててはいるが、基本的には日本の諸産業についての戦略的見地から、どうすべきかというのを各部門の専門家と対談している内容。論旨は非常に明快。

 原発事故で、リスクコントロールについて、確率論的な見方をしない弊害など、確かになるほどと思う。これは有事体制の策定ができないことにいらつく「言霊教」井沢元彦先生が言っているのとも共通しますね。日本のこういう体質、本当にどうにかならないでしょうかね。

 あと、農産物をカロリーベースじゃなくて金額ベースで評価しろというのも、そうでしょう。全体的にファナティックなところがない、健全な議論だなと思いました。しかし、立派な紙の新書の割に、すぐ読めてしまう、逆にいうと、子々孫々まで持っておくべき内容の濃厚な本、とは言えないか。

 すぐよめます。
 きっと高校生の夏休みの小論文には向いてる。

 基本的な議論のたたき台にはちょうどいいのではないかと思う。おそらく官僚の作ったデータなどを大いに参考にしているのではないかと思いますけどね。