- アーティスト: Bill Watrous
- 出版社/メーカー: Gnp Crescendo
- 発売日: 1992/02/11
- メディア: CD
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その頃うちの部ではこういうスムースな白人っぽいスタイルが好まれており*2、その後の自分の方向性を決めるきっかけになったCDのうちの一つではあります。
当時カセットテープにダビングして聴きたおしたものです。一曲目のDay in, Day outとかコピーした記憶があります。ただ、カセットをいつしか聴かなくなり(カセット搭載のデバイスが減ったので聴けなくなったというのが正しいか)、自分の記憶からは薄れていたわけですが、このたびamazonにて購入しました。
購入した理由はその前に買った同じくBill Watrousのアルバムが大変ひどく、嫁の不興を買ったからです(「なにこれ…ひどいわね…」)
いや、こんなんやないで!ビルワトラスは!ええのんもあるで!
昔ワシが感動したやつを聴いてみい!と勇ましくカートに運んだわけですよ。それが購入の経緯。
* * *
昔の記憶どおりで、非常にスムースな演奏でした。生ワトラスも一度みたことがあるのですが、ジャズトロンボーン界ではトップクラスのテクニックであることは言うまでもありません。
ただ、耳が肥えた部分もあり、まぁ、正直にいうと昔ほどの興奮はなかったのも事実です。
曲は唄ものスタンダードが中心です。ビルワトラスのソロは、あまり奇を衒ったり、こむずかしいスケールを弄したりということは全然なくて、どちらかというと臨時記号がほとんどつかないコードなりのソロです。でもくるくるとよく回るフレーズ。特に最後の曲はほとんど追随不能な超ハイスピードのソロですね。ここまで速いパッセージでこられると、コピーしてもトレースできない。
残念だと感じたのが、音質、というか録音。
80年代か70年代終わりくらいの録音なので、いろいろその当時の実験的な、たとえばトロンボーンもオーバーダブにてソリを「分身ビルワトラスの術」で吹き込んでいたり、ピアノも一部キーボードだったり、意欲的に取り組んでいるのですが、それが今にしてみるとちょっと陳腐に感じられる。音自体にすべてソフトフォーカスがかかっているような感じがして録音に定位感がないんですね。
電子楽器が使われ始めてまだ歴史の浅い当時は、「デジタル」というとデジタル感まるだしの音作りの傾向がありまして、そうはいっても、このころの電子音はあまり複雑な音色は不可能なわけで、今から聴くと音がスッカスかに感じられてしまうのです。ビル・ワトラスは、どちらかというとトロンボーンのなかでもソフトでシルキーな音色ですが、それがこういった電子音の中ではあまり目立たなくなってしまって、むしろがさがさっとした生音の中で魅せる方がいいような気がしました。今にして思えば。
今聴いて、新鮮だったのは、例えば一曲目のDay in, Day outなどはソロの終わりのほうでちょっと息切れしてフレーズとかも少し危うくなっているんですね。昔の自分はそんなところには気づきませんでしたが、ビル・ワトラスも神様ではないということですね。ほとんど神クラスですけど。
ちなみにその前に買い、嫁の不興を買ったアルバム:
Manhattan Wildlife(Bill Watrous/Wounded Bird)
- アーティスト: Bill Watrous
- 出版社/メーカー: Wounded Bird
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: CD
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ちなみに、ビルワトラス氏、若いころ、あまり太っていない頃の口をあけて笑っている写真は、トータス松本氏に少し似ているような気がします。