半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

栗本慎一郎『読書原論』

読書原論

読書原論

 今となっては過去の人感もある栗本慎一郎が、ぶいぶい言わせていた、それこそもうニューアカまっただなかの頃に出していた本。彼も若いので、態度的にもかーなりトガってます。

 しかし、文化人の悪癖として、人から認められるようになると、

  • 文章の書き方のHow to本(チミ達、このように書くんだよ)
  • 自分の今まで読んできた読書録(チミ達、こういう本を読むんだよ)

というのをとかく出したがるわけで、別に栗本慎一郎を貶めているわけではないが、そういう本。

現代思想を理解するのにこれを読め!」的な本の紹介がメインコンテンツ。おそらく当時に話題となったであろう、栗本の本100選とか120選とか50選のリストが示されていたが、ここからちょいと渉猟して本を読んでみようと思いました。

p.133-栗本慎一郎が選ぶ超ジャンル50冊の本

  1. 日本近代文学の起源 柄谷行人
  2. 死に至る病 キルケゴール
  3. 幻想としての経済 栗本慎一郎
  4. ヘンタイよいこ新聞 糸井重里責任編集
  5. 表層批評宣言 蓮貫重彦(正字が出ず)
  6. エロティシズム バタイユ
  7. 共同幻想論 吉本隆明
  8. 生命潮流 L・ワトソン
  9. 知の変貌 中村雄二郎
  10. セクシィ・ギャルの大研究 上野千鶴子
  11. ものぐさ精神分析 正・続
  12. 私という現象(三浦雅士)
  13. 映画の理論 B・バラージュ
  14. 文明化した人間の8つの大罪 K・ローレンツ
  15. ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを ヴォネガット
  16. エソロジーとはどういう学問か 日高敏隆
  17. 未知の次元 カスタネーダ
  18. 石の血脈 半村良
  19. ロマンチック・サイエンス 楠田枝里子
  20. 東京の血は、どおーんと騒ぐ 栗本慎一郎
  21. ホモ・パンツたちへ 栗本慎一郎
  22. パンツをはいたサル 栗本慎一郎
  23. 東京漂流 藤原新也
  24. 呪われた部分 バタイユ
  25. 大脱走、どこへ 野田秀樹ほか
  26. 野生の思考 レヴィ=ストロース
  27. 映画 誘惑のエクリチュール 蓮貫重彦(正字が出ず)
  28. ジャズ・エイジの街角 海野弘
  29. パリ・旅の雑学ノート 玉村豊男
  30. 封建主義、その論理と情熱 呉智英
  31. 人生はデーヤモンド 篠原勝之
  32. 哀愁の街に霧が降るのだ 椎名誠
  33. 隠喩としての建築 柄谷行人
  34. コインロッカー・ベイビーズ 村上龍
  35. 素人の時代 吉本隆明
  36. 贋物漫遊記 種村季弘
  37. 私、プロレスの味方です 村松 友視(正字でず)
  38. 牛がいて、人がいて 糸井重里
  39. 産霊山秘録 半村良
  40. 魔界水滸伝 栗本薫
  41. 幻魔大戦 平井和正
  42. プラグを抜く 山本哲士
  43. さる業界の人々 南伸坊
  44. 情熱のペンギンごはん 糸井重里
  45. ザ・コミュニケーション 浦達也
  46. 羊をめぐる冒険 村上春樹
  47. ハリウッドの神話学 川本三郎
  48. かわいい女 チャンドラー
  49. スローなブギにしてくれ 片岡義男
  50. 広告の本 天野祐吉

50選も100選も全部書いてられるかと思って、一番少ない50選のを書き出してみましたが、これは、ちょいと柔らかすぎか。それに、たった50選なのに著者の重複が結構あるのは興ざめである。今にしてみれば、これは「やっつけ仕事」のそしりを免れないでしょう。余力があれば100選も書き出してみます。

 しかし、このリストをみて、80年代の当時の時代の雰囲気というものが透けてみえるものです……時代を、というか、過去の勢いを感じますね。