- 作者: アーサー・C・クラーク,グレゴリイ・ベンフォード,山高昭
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/09/09
- メディア: 文庫
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昔読んだ『都市と星』という本の続編に位置づけられる本。都市と星、僕的には好きな本だったんですが、この本を買ったにあたって、本棚を漁ってみてもみつかりませんでした。売り払っちゃったのかなあ、それとも実家に置いたんだっけ。
(正確には『都市と星』の前作である『銀河帝国の崩壊』。ややこしい。銀河帝国という名前がまず本の内容に即していないと思うが)
この本の第一部分は『都市と星』の後半と全く同じ。で、後半は別の人が書いています(ベンフォード)。
、『ゲド戦記』もそうですし、最近ファウンデーションシリーズも再読している私ですが、これらには共通項があって、一度完結した話を10年以上たって続きを書いているんですよね。で、どうしても読んだときの違和感というのがぬぐえません。読み味が明らかに違う。それは、作家が10年なり20年なり経って、世の中がポストモダンに移行している影響をもろに受けているからなんじゃないかと思うんです。
これらの作品の続編には、文体やプロットの不一致というだけでなく、パラダイムシフトがあって、それが読み手である僕たちをひどく困惑させる。世界のパラダイムシフトを作品で描くと、どうしてもその作品世界の世界観時代の実存性というか堅牢性にひびが入る。それが若い頃耽溺した自分を白けさせるのです。
この作品は上に挙げた3作品の中では最も気に入りませんでした。書き手が違うということを割引いても、もともと虚構性の高い世界だったので、その中で、パラダイムシフトがあると、どうしても虚構の虚構のようになってしまう。Substitute chordの上にコンディミを載っけるような、よくわからないことに。
ところで、最近のクラーク作品は、カバーイラストの真ん中にどーんとクラークと威圧感のある英語で書かれていて大層かっこいい。『ツァラトゥストゥラ』が流れてきそうで、とても2001年宇宙の旅的だと思う。
だけど、この本は正直ジャケにだまされました。