- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 文庫
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ええと、単行本で出たときは、僕の中で町田康読み始めの時期と重なっておりまして(くっすん大黒とか)、読んでみたいなーと思っていたわけですが、文庫が出るまで待ちました。幸いなことに表紙も単行本と同じ。
本のボリュームとしては、テレビにひきうつしてみると、二時間スペシャルものの時代劇と同じくらいじゃないかと思う。一時間の通常枠ではちょっと少ないし、新春六時間時代劇では長すぎる。起承転結もはっきりしていて、ちょうど映画一本くらい。
ただし、ご存じの通り、この本は普通の時代劇ではない。現代劇でも、SFでもないし、非常に難しい位置にある本です。ごった煮のような、カオティックな小説。一応江戸時代だろうと思われる(藩、とかいってるし)が、腹ふり教という新興宗教をめぐるお話。でもまあ、面白いからいいか、とそんな気にさせられる。
別の世界の別の話なのに、ある部分は、会社員哀歌のようでもあり、自己愛の強い人間のカリカチュアであったり。江戸時代の藩というのは、今の会社の融通のきかなさにかなり通じるものがある。この小説ではそれをうまく利用していて、板ばさみみたいになる中間管理職とか、小役人的なボンとか、そういうのが登場する。これって世相批評?いや、そうじゃないよね。
はらふり教とくところの「おへど」は、諸星大二郎テイストがかなり強いと思いました。
ところで、登場人物が死ぬときに、「○○歳であった」と、なぜか必ず年齢が併記されているのはなぜでしょうか。