- 作者: 山本七平
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
中学の時は僕は本多勝一を読む子だったんですけれども(今にして思うと、あの朝日文庫の黒い装丁のシリーズは、何もわからない中学生に手に取らせるのに、非常に貢献していると思うな)、『殺される側の論理』で山本氏ことイザヤ・ベンダサンと本多氏の論争が載っていて、よくわからないけど、本多氏が勝った勝ったと言っていたのを真に受け、山本七平という人はとんでもないインチキ知識人で、本多氏こそが正義なんかなーと、まあ中学生だったから思ってしまったんですよ。
この本多史観というか、そういうものをデプログラムするにはそれなりに時間を要したわけですが、そうしてから、山本氏の著作を読むと、論理よりも直感の人かなという印象は受けるものの、そんなに変なこと書いてない。最近は山本氏の著作も復刊される傾向にあり、ぼちぼち手にとって読んでいます。
この本は「日本人っていうのは結局どんなやつなんや」ということについて書かれてます。視点として、
1:安土桃山期に以降の西洋人からみた日本人観
2:朝鮮出兵時の朝鮮人からみた日本人観(看羊録)
3:同時代人の日本人からみた室町〜江戸期の日本人観
を取り上げています。
考察はあっさりしていて、基本的にはこの複数の視点の紹介に、印象批評をちょっと付け足しただけのような感じです。
ゆえに、読んで何もかも解り、目から鱗が落ちるような経験をするタイプの本ではないんですが、インスパイヤされる部分がいくつもあり、かなり問題意識は喚起させられる。
結局この本で語られている問題点は現在も解決していないわけで、この時代に山本氏が気づいていたことが、その後の日本の舵取りにおいてむざむざ活かせてなかったのだなあと、ちょっと後悔気味な読後感があるので注意。