半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『タダでテレビに取り上げられる方法』

いけないいけない、気がつくと20日弱更新を怠っていた。

冬は活動不如意になるのもあるんですけれど、最近ルーチンワークを処理しきれなくなっていたのです。
本を読む頻度も、正直結構減っていた。
冬は苦手だな。

* * *

オススメ 90点

そんな『プチうつ』ではあるが、取り上げる本はこんな下心まるだしの本。
タイトルが、すげー都合いい感じでいいですよね(笑)。
内容はタイトルそのままなんですが、まずまず役に立つと思いました。

以下、要点。

  • SNS時代、テレビはオールドメディアであり、「オワコン」とも取られやすいけど、未だに情報にリーチする力は絶大であり、侮れない影響力をもっている。
  • むしろネット時代の今こそテレビでのPRが有効。
  • テレビ発の情報は、SNSで共通の話題として拡散されやすい性質をもっている。
  • テレビでCMを打つには何千万もの広告費が必要だが、そうではなく、テレビに取材してもらう場合は、タダ。
  • PRとしてお金を出してテレビに売り込む場合は、PR枠となる。宣伝目的と、メディアが主体的に取材を行い情報発信を行うことは、明確に区別しなければいけないと放送法で決まっている。
  • 反社会的な内容やアダルトな情報は、現在は昔に比べて規制が厳しいのでNG。
  • 主婦や高齢者に受け入れられやすい訴求ポイント一覧(省略)
  • ただし、TVの効果は「瞬間最大風速」あくまでこれを「きっかけ」として飛躍する必要がある。
  • テレビマンが取り上げる4つのポイント(省略)

テレビマンの経験から、取材されやすい、プレスリリースの書き方とか、とにかく実践的だった。
「テレビ側はこう考えてこういう風に番組を作っています」
というのがわかりやすく書かれていたので、目からウロコでした。

医療法人は、自分たちから宣伝はできないので、こういう宣伝を上手に使うことがかなり重要かもしれない。
ローカルメディアなら、訴求力はかなりあると思うし。
PRでなく取材ということであれば、医療広告の規制も、かなり回避できる。

が、なかなかハードルが高いね。
というのは、私個人は、取材が苦手。
およそフォトジェニックとは程遠い。
My Funny Valentineの歌詞にある、”Un-phtographable” ってやつ。
笑顔も苦手で、スマホでのセルフィーですらひきつった笑いになってしまう。
テレビ苦手だなー。
経営者の端くれではあるので、ローカルな取材はしばしば受けたけど、今までの出来栄えは大体後悔した。

取材に耐えうるようにするなら広報担当にカワイイ子を任命しよう。そうしよう。

『金儲けのレシピ』

オススメ度 100点
あからさま度 120点

金儲けのレシピ

金儲けのレシピ

最近Webの記事で「なぜ大塚家具は失敗したのか」というプレジデントオンラインの記事が気になったので、本を買った。
president.jp
思ったより短い本の割に値段はKindleで1400円もする。
しかしうん、たしかに面白かった。

結局ビジネスの要諦はお金を儲けることだ、と言い切る。
そのためにはどうするかというのを、シンプルに要素分解して切り取ってみせる手法。

  • LTV(ライフタイムバリュー)>CAC(顧客獲得コスト)のバランスが大事
  • 「誰にも、簡単に、必ず儲かる」はありえない(もしそれが真実なら限界利益がゼロになるまで参入者の増加が続くため)
  • まともに商売をすれば、最終的に自分の労働コスト分しか手残りが残らない(完全競争市場においては、理論的には利潤はゼロになるはず)→だから、情報の非対称性や、特殊な理由で『完全競争市場』にならない市場を発見する必要がある

 というのは、目からウロコだった。
 確かにそうだ。
 Youtuberやブログのアフィリエイトが今では儲からない市場になっている理由の説明がつく。
 参入者が十分増えた市場においては、望外の儲けなどは期待できるはずもないのだ。
結局儲けというのは、アービトラージなんだ。

やわらかい経済用語や経営学で使われる『ビジネスモデル』の舞台裏をさらに解き明かす本。
ビジネスモデルという完成形に至るまでの力動線をさらにベクトル分解したのが本書ということになる。

halfboileddoc.hatenablog.com

一般的なビジネスモデルを、この「金儲けのレシピ」本を踏まえて要素分解するとより理解が深まりそうに思った。

たしかにこれは力を持った本だ。
情報商材というよりはむしろ狐憑きを落とす効果がある。冷徹な視点で書かれている。

むしろ、社会的な使命のために起業しようという人にこそ、こういう「悪い考え」をきちんと取り入れて、その上で自分のやりたいことをやる、というのが大事だと思う。

ほら、鬼手仏心っていうじゃないですか。

『ニューヨークで考え中3』近藤聡乃

ニューヨークで考え中(3)

ニューヨークで考え中(3)

オススメ度 90点
臨場感度 100点

2020年に読んだマンガで『A子さんの恋人』がベストだった。
halfboileddoc.hatenablog.com
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作者の近藤聡乃さんは、もともとは漫画家ではなく『A子さん』のようなストーリーマンガは初めてだったそうだ。
とてもそうは思えないのだが、割とアート寄りのアニメーション製作者で、絵は描き慣れている人ではある。
だからこそ、動きを感じさせる描線がうまいのだと思った。

『ニューヨークで考え中』はニューヨークに滞在している著者の生活雑記、とでもいうもの。
テイストは『A子さん』とよく似ていて、作品と地続きの世界に来た、という印象。
なおかつ、生活のリアリティ、俯瞰した視線とか、作者の人となりが伝わる、いいエッセイマンガだった。

近藤聡乃さんの境遇はA子さんにかなり似ているのだけれど、性格は当然ながら全然違う。
もう少しクールでA子さんの「悪気ない悪女」ぶりを無くした感じの印象。

『A子さんの恋人』の最終巻はコロナのロックダウンの中描かれたそうで、しかもロックダウンの中、アパルトメントの上階の火事によるスプリンクラー作動で住居が水浸しに遭う。
原稿や家族の蔵書もダメになるという大変な状況のなかロックダウンでリフォームもなかなか進まない…という状況だったそうだ。
外国でトラブルにあう大変さ・心細さ……大変だよね。
こういうのを見ていると、もうちょっと自分も地元で安閑と暮らしていてはいかんのじゃないかと思ったり、逆に日本に来ている外国の人にもっと親切にしなきゃいかんよな、と思う。

旅行以外では、私は外国で暮らしたことがない。
このまま今いる所から離れずに一生を終えるんだろうなー。

今更グローバル人材にはなれそうにないけれど、全く違う国で、全く違う役割で人生をやり直せたら……
いや、そんなんめんどくさいわ(笑)。

他人の人生をやり直すには、いささか歳を取りすぎたなあと、最近の僕はやや元気がない。

『ビジネスの未来〜エコノミーにヒューマニティーを取り戻す』山口周

オススメ度 100点
元気でる度 120点

halfboileddoc.hatenablog.com
以前から山口周の著作にはずれなしということを書いていたが、最近は著書だけではなく、メディアに著者本人の露出も増えたように思う。
(やさしそうなおじさんで安心した)
この本は、メディアに出るようになったからか、思索する本人の近影が大写しになったもの。
だいぶ扱いがかわったなあ、と思う。著者から文化人という感じに今はなりつつある。

今回の本、かなり大きな話だったけれども、非常に得心のいくものだった。
この本、間違いなく売れる。

今までの山口氏の著作も、かなり納得がいく話だったけれども、ビジネス環境の中のある事柄についての著作、というふうだった。
今回は、現代文明を俯瞰して、未来への提言という、かなりな大きな話。

特殊相対性理論から、一般相対性理論に進んだような、視座の広さに圧倒された。
主張も明快で、なんと、論旨そのものの結論が、まえがきで示されており、著者の自負心がうかがえる。

・転機というものは、なにかが始まる前に、なにかが終わる時期なのだ(ブリッジズ)
・では、現代でなにが起こっているかというと、従来のビジネスの世界は、その役目を終えつつある。
・低成長は、今までの社会で達成できていない状況から現状への完成に近づきつつある証左であり、低成長そのものは歴史的必然ではないか。
・変化率を気にするのではなく、そもそも「どういう社会をつくりたいのか」ということを考える必要がある。
・「便利で快適な社会」=これまでの目標、から、「生きるに値する社会」に変えてゆく。
・「古いゲームが終わり、新しいゲームが始まる」
GDPという実は恣意的な指標で豊かさを評価すること自体が間違っている。



経済合理性という評価基準からは解けない問題の解決が求められている。
喜怒哀楽などの衝動による行動が称賛される。
インストルメンタルな思考/行動から、コンサマトリーな思考/行動様式への転換が必要

コンサマトリーという言葉は、あまり聞き慣れないし、まだ一般化していないけれども、山口周氏の影響力を考えると、2021年の終わりには、割と聴かれる単語になるんじゃないかと思う。多分、この本ベストセラーになると思うし。

「コンサマトリー」という言葉、僕も使ってみようと思う。
経済合理性でクールにビジネスを決めてゆく、のではなく、「「おもしろいからやってみる!」みたいな内発的な動機こそが、ビジネスにしても非ビジネスにしても重要だということ。まあ普遍的な原理だけど、この目で今までの人間の活動をもう一度俯瞰しなおすと、見えるものが変わってくるように思う。

面白い。
何度か読み直して咀嚼しなおそう。

『廃墟のメシ』

オススメ度 80点
お前これスポンサードせなあかんぞO塚よ 度 100点

廃墟のメシ4 (アルファポリスCOMICS)

廃墟のメシ4 (アルファポリスCOMICS)

なんとなく読んだ。
正直にいうと、四巻の表紙の絵のふわりとした感じに惹かれたのもある。

読んでみると、いわゆる終末世界もの(『世界の終わり」のそのあと)。
文明崩壊後の人類は、荒廃した大地の上でほそぼそと暮らしていた。
完全食品といわれるコモンブレッドという某O塚の『カロ○ーメ○ト』そっくりの食事しか教義で許されていない状態で。

劇中のカロ○ーメ○トは、商標こそ書かれていないものの、ありようはカロ○ーメ○トそっくり。

ちょっとカロ○ーメ○トを炙って食うことは、宗教的には怒られてしまうけれども、炙るとうまいよなあ…みたいな、細かい設定が、まあ面白いとえば面白い。チョコ味がレアだとか、そういうのも。
質朴な描線と見せかけて絵はうまいと思うなあ。
ツインテールの主人公の出自や、結局世界の秘密、軌道エレベーターの設定なども含めて、四巻でまとまっていた。
最終的には、コモンブレッドからの訣別というストーリーであるとはいえ、世界観としては昔宇多田ヒカルの歌で日清食品が宇宙を舞台にしていたCMあったじゃないですか。
youtu.be
あんな世界観なんですよ、この作品も。
もうコモンブレッドとかいわずにカロ○ーメ○トでアニメ化したらいいのに、と思った。

大塚(言っちゃった)儲かっているでしょう!
なにほったらかしてんねん!

* * *

最近私は昼食にカロリーメイトを食べているのだが、カロリーメイト、他のプロテインバーやソイジョイに比べて、食べ飽きない。
新しいメープルとプレーンはうまいとさえ思う。

カロリーメイト何味が好き?
 みたいな話は、きのこたけのこ論争以上に喧嘩を呼ぶ話題である。

ちなみに2021年のわたしは メープル=プレーン>フルーツ>チョコレート>>>チーズである。

2020年買って良かったもの【マンガ編】

#買って良かった2020

2020年買って良かったもの【書籍編】 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
2020年買ってよかったもの【モノ編】 - 半熟三昧(本とか音楽とか)

に引き続いて漫画である。
最近連載漫画を雑誌で追いかけるのはもうやめたのだが、単行本で追いかけているのはそれなりにある。
マウンテンバイクにハマったりして大丈夫か『弱虫ペダル』とか、クイーン戦と名人戦で完結するんだろうか『ちはやふる』、とか、ヨーロッパでまあまあ有名になってアメリカで自動車修理工場でバイトはないだろ『ブルージャイアント』とか『転スラ』このさきはノベルのあらすじ見れば見るほど読む気が失せてくるとか、一体いつまで続くんや『不倫食堂』と『めしばな刑事タチバナ』とか、一年間なんの動きもなかったな!『Hunter x Huter』
その逆でもうストーリー展開が早すぎて一巻出るごとに読み直してもよくわからんぞ『進撃の巨人』とか、言いたいことはたくさんあった。
『アクタージュ』も印象に残ったけど未完で終わるのは本当に残念。

印象に残った漫画を挙げてゆきます。

鬼滅の刃

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映画が空前のヒットということで、リアル古書でも空前の転売ブームが起こっていますが、僕が読み始めたのは2019年の年末。
うん、流行の半歩先って感じでしたね。
これだけヒットしていても、きっちりと物語としての純度を保ってあっさりと幕を引いたことに拍手。なかなかの英断だと思う。
そういう営業的なおもねりがなくストーリーに没入させてくれる、作者の純粋さも印象的でした。

戦争は女の顔をしていない

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いいコミカライズでしたね。ソ連ノーベル文学賞受賞作品。
谷口ジロー安彦良和が取り上げそうな原作。しかしイマドキの若い画風だったのも新鮮でした。
原作そのものは、あくまで民衆主義的な視点から来た作品だが、フェミニズムとかジェンダー論とか、はたまた旧ソ連と民主主義陣営とか、そういうイデオロギー論争に二次的に利用されただろうなと思うといささか複雑ではあります。

紛争でしたら八田まで

これはBlogに書いてないや。地政学的なイシューを漫画に落とし込んだ好本。
マスターキートン】に地政学を足して、考古学を引いた、ような感じか。
主人公八田のサバサバしてそうだけど多分そうでもない感じ、嫌いじゃないですよ。

戦国小町苦労譚

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農業高校の歴史好き女子高生が、織田信長の領地にタイムワープ?みたいな話。異世界転生もののひとひねり。結構面白い。
けど、主人公の特性が「外れ値」過ぎてストーリー上都合がよすぎる。そして当時の男尊女卑感覚と、現代の人権感覚はもっともっと隔たりがある。多分もっと悲惨で屈辱的なことが起こって終わるよなと思った。
たぶん『JKハルは異世界で娼婦になった』の方がリアルに近いと思う。
(ファンタジー世界に転生したけど、取り柄がないから娼婦になるという、まあまあ悲惨なプロットをクールに描く。これぞ異世界だ、と思った)

神様のバレー

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ベイビーステップ』とか『グラゼニ』などと同じで、スポーツに賢さが必要であることを全面に押しだした作品。
戦略、心理の読み合いなど、バレーをしないから実際しらないけど、面白かったです。
ただ中学バレーって、作戦が当たるにしても、そこまでうまいこといくかなーと思ったりもする。やっぱりフィジカルに押されません?

バトルグラウンドワーカーズ

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これも『エンダーのゲーム』的なディストピアなのだが、三巻、四巻ときて、どんでん返し。
ディストピアには底がなかった!目が離せない展開です。
おすすめです。今一番続刊を待ち望む作品。

A子さんの恋人

A子さんの恋人 7巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 7巻 (HARTA COMIX)

halfboileddoc.hatenablog.com
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2020年にもっとも心動かされたのが、これでした。堂々の大団円。7巻で完結。
表現者のモラトリアムと恋と進路。悲しくもおそろしくも優しい話。
ちょうオススメです。せつない。

テセウスの船

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タイムリープもの。10巻程度できっちりと余韻を残し終わる。完成度の高いプロッティング。
犯罪加害者家族の悲惨さというのは、もうちょっと賢察されてもいいとは思うけど、多分誰もが余裕がない今の日本では、因習的な因果応報感覚が改められることはないんだろうな。

サマータイムレンダ

テセウスの船で「タイムリープもの」というのをSNSで話していたら知人に勧められた。
なるほど面白い面白い。
けど何度も主人公が死ぬ。「死んで覚えゲー」みたいなストーリー展開。スペランカーか。
そして、完結していなかったので、今僕は非常にもやもやしています。

ミステリと言うなかれ

halfboileddoc.hatenablog.com
『巴がゆく!』の人の、『動く安楽椅子探偵もの』
心理描写というか、深読みがおもしろい。主人公のいい意味で動じない不思議少年感。よき。

彼方のアストラ

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ほどよく短く凝縮され、完成度の高いストーリー!
絵柄はアニメチックそのものだが、ストーリーは結構ハードだったな。

北北西に曇と行け

北北西に曇と往け 1巻 (HARTA COMIX)

北北西に曇と往け 1巻 (HARTA COMIX)

これもかなり面白かったけど、Blogに書かなかったな…。
アイスランドに住んでいる少年とその弟、その友達の話。
という一言では語り尽くせない、不思議な読後感。
何と似ているだろうか……ちょっと思いつかない。
海外の文学作品のようなからりとした開放感がある。

こづかいバンザイ

halfboileddoc.hatenablog.com
これは、それとは真逆の、日本でしか生まれ得ない作品。
『四畳半ジャズ』って言葉があるけど、四畳半漫画とでもいいましょうか…。
月1万円台のお小遣いで知恵を振り絞って生きるお父さん達! たしかにこづかいバンザイ!
タバコとか酒とか飲むのやめたらいいのに…と思う。

ゴブリンスレイヤー

コロナ禍の初期に、このウイルスは本質的には「ゴブリンスレイヤー」に似ていると喝破された先生がいた。
blog.tinect.jp
一人一人は弱小だが、数が集まるとある時点で、全く手に負えない存在になってしまう、その相転移の怖さ。
それがきっかけでゴブリンスレイヤーを読み始めた。
なるほど面白いですね。
RPGシミュレーションゲームの間というか、多対多のバトルはファンタジー世界ではあまり描かれないけど、ゴブリンとの戦闘は、そういう名もない乱戦。
そこにフォーカスをあてた作者というのは、他の人にはない独自な視点を持っているなあと思った。
続編・外伝も含めて、まずまず読んでいます。またBlogに書きます。

かっぴー

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なんだかんだいって、当代の荒描き絵師かっぴーの作品はまずまず読んでいる。
左利きのエレン、SPA!連載のバズマン。どれも面白い。
クリエイターという存在に対する全国民の憧れをうまく吸い上げているとは思うけど。
ただ『オシャ家ソムリエ』と『金子金子』は一巻ですっきり終わって面白かった。
基本辛辣ですよね。ツッコミが容赦なくて好き。

PANPANYA

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去年の新年、誰かがBlogでオススメマンガでとりあげていた。読んでハマった。
ガロっぽさある。つげ義春でもますむらひろしでも諸星大二郎でもないが、それに比肩しうる強度のイマジネーション。
脳内でかなり明晰な妄想を描ける人。そういう漫画。
どれでもいいからとりあえず一つ読んでみよう。

まとめ:

歳をとると、いろんな漫画を読んだ経験が邪魔をして、新しい漫画を素直に楽しめないだろうと若い頃思っていた。
しかし実は、40歳を越してからは、どんどん己の性格のこだわり、批判精神や斜め上からの視点がなくなった。
そうなるとほとんどの漫画を素直に楽しめるようになった。
かといって、昔の漫画を読み返すとクオリティに我慢できないものもある。
だから、単純に今の漫画って結構質が高く面白いんじゃないかと思う。
シニカルさのようなものを捨てて、正面から作品を楽しんだほうが人生は楽しい。

2020年買って良かったもの【書籍編】

#買って良かった2020

モノ編は前日のエントリをどうぞ。
halfboileddoc.hatenablog.com

今年も色々な本を読みました。

いくつかのジャンルについては固め打ちで読みました。
・起業の本
・投資に関する本
・組織の中の人間関係に関する本
行動経済学に関する本
投資と起業の本については、ちょっとまだまとめきれていないので、別に改めて書かせていただきたいと思います。
人間関係については、組織の中での人間関係の軋轢に悩んでいたし、行動経済学については、経営陣の主導する政策が、職員にとって受け取りやすいものか、受け取りにくいものか、というところに改善の余地が大いにあると思ったからなんです。

独学大全

じつはKindle版とリアル書籍と二冊買っています。独学の方法論を網羅的に語り尽くす凄さもありますが、端々に教養が見え隠れするクリスプな箴言に満ちているところも、刺激的でした。できればこの独学大全のエッセンスを自学自習分野に敷衍してみたいと思います。
(まだBlogには書いてない)

畳み人という仕事

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組織での仕事における、名女房役とでもいうべき風呂敷を「広げる人」と「畳む人」。畳む人は大事だと、僕もすごく思う。
こういう人が一人いるだけで、組織は円滑に進む。

大きな嘘の木の下で

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オンデーズの社長の本。組織論・会社論といってもいいが、割と新鮮な驚きがあった。

PEP TALK

部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ

部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ

  • 作者:占部 正尚
  • 発売日: 2017/10/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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PEP TALKも、ユマニチュードと同じく、一つのシステムである。
PEP TALKはビジネス業界では割と知名度があるのかもしれないが、医療介護業界ではそこまで膾炙していない。
これ、きちんと組織内に流行らせたら、接遇とかにしろ変わるかもしれないな。

ユマニチュードは認知症の患者さんに対する介護のコツ、というものだが、敵意を持たれないノンバーバル・コミュニケーションとして普遍性がある。ペップトークは、感情を害することなく内容を伝える技術としての汎用性がある。

山口周 ビジネスの未来(エコノミーとヒューマニティーを取り戻す)

去年に引き続き山口周の著作は数冊読み、どれも印象深かったが、年末に読んだこの本に、非常に感銘を受けた。
またBlogには書いていませんが、今後の自分の生き方の指針となるように思いました。

コロナ(Covid-19, SARS-CoV-2)に関する本

理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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今年はコロナの年でした。西浦先生の本、正直タイトルの感じは、想定読者層が違うような気もするんですけれど。
当代一流の科学者の、政治と国策決定の回想記。日本の中枢での意思決定および組織の中で、科学者として正しいと思われることを提案することの難しさを、感じることができる。西浦先生のまっすぐなお人柄、尾身先生のお人柄(尊い!)もうかがいしれる好本。
尾身先生ほんま国民栄誉賞やで……

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』峰宗太郎・山中浩之

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こちらはばぶ先生こと峰宗太郎先生の本。これは新型コロナ、そしてワクチンとかを一般にわかりやすく説明している対談本。
今わかっていることとわかっていないことが混在しているなかでわかりやすく説明することって、結構難易度の高いことだと思うけど、すげーわかりやすいんです。

その他、カミュ『ペスト』『リウーを待ちながら』『感染症と文明』とか色々読みましたけど、上記二冊が一番ささった。
あ、岩田先生の本とか小林よしのりの本とか読んでないや。

人に頼む技術

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まあ、ジョブズが実践できていたかどうかはともかくとして…この手の洋書は、雰囲気だけの薄い本は少なくて、豊富なエビデンスを例にあげて解説してくれるので、とてもおもしろい。ちょっと読んでて食傷するけど。

鬱屈精神科医、占いにすがる

鬱屈精神科医、占いにすがる

鬱屈精神科医、占いにすがる

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クールでスマートに見えた春日先生が、およそ非科学的とわかっている占いに突撃することで泥臭く自己分析を繰り返し、過去を総括してゆくという、割と古いかさぶたを剥がす痛みのような一冊。なんかもう胸にせまるものがあった。
続編ではお祓いもしているらしいですね。というか、続編、あるのか…確かにこのままで投げっぱなしだもんなあ……

穀物の人類史

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サピエンス全史でも少し触れられていたが、狩猟民族から定住・農耕民族への変化は、定行進化でもなんでもないという話。
「ドムス化」という言葉が鍵となる。この言葉を共有するために、この本を読まれたし。

暴力と不平等の人類史

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かなりの大作であるけれども、ピケティのr>gとこの本、そしてジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』読んでおけば、世界の見方は大幅に変わるのは間違いなし。簡単にいうと、戦争・革命・崩壊・疫病が起こると、人類の格差は減少し、平和な時代には格差が増大する。
あと、今我々が所与のものとしている「累進課税制度」は世界大戦を契機に始まったということだ。
この本の唯一の弱点は5000円以上することかな……

沖縄から貧困がなくならない本当の理由

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沖縄という特殊な地域の話なのかなーと思っていたが、東京と地方の格差論に帰結するのは新鮮な驚きだった。
地元のダメなところと重なるところが結構ある。
理路整然とした本ではないが、めっちゃリアリティがある現場の叫び。

労働者の味方をやめた世界の左派政党

あ、これもBlogに書いてないなあ。「朝日ぎらい」もそうだ。
トランプ、安倍政権、反知性主義と言われるような現在の政権与党のあり方には世界共通な点が多い。
その辺のメカニズムを丁寧に描いている本。

「遅いインターネット」宇野常寛

遅いインターネット (NewsPicks Book)

遅いインターネット (NewsPicks Book)

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時代を切り取る論客宇野氏の現在論。平成は経済も政治も変革を起こそうとして失敗した時代であった。
インターネットは破壊には役立つけれども、創造には現在の形であれば向いていない。
提案も含めて、色々刺激的な本。あー、去年買ったままで『シン・ニホン』読んでないわ!

起業の本と人間関係、組織論はまとめて別で論じてみたい(多分なかなかそうもいかないけど)